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## 概要
[[Yazi]] `v26.5.6 -> v26.8.15` のリリース内容を調査し、`新機能` `変更` `非推奨` `バグ修正` `改善` に分類して要約する。あわせて、各項目に5段階の重要度を付け、タダシの設定([[設定ファイル (yazi)|設定ファイル]]。toki `mnt/yazi/` 配下)への影響と推奨対応をまとめる。
v26.5.6の次の安定版リリースはv26.8.15のみで、間に他のリリースはない。v26.8.15は 2026-08-15 UTC に公開されている。
## 調査結果
調査元は GitHub Release、`CHANGELOG.md#v26815`、主要PRの本文です。重要度は `5=移行・互換性・日常利用への影響大`、`1=限定的/開発補助` で付けています。
**新機能**
| 重要度 | 内容 |
|---:|---|
| 5 | ゴミ箱(trash bin)。preset plugin `trash.lua` として実装され、`g` → `t` でゴミ箱を開き、`O` で復元・完全削除ができる。 |
| 4 | ドラッグ&ドロップ対応(要ターミナル側のkitty DnD protocol対応。2026-08-23時点でkitty v0.47+のみ、[[Ghostty]]は未実装)。 |
| 4 | ヘルプメニューがコマンドパレット化。フィルタ入力が常時有効に。 |
| 4 | input履歴(input history)。 |
| 4 | OSのダーク/ライトモードに追従する自動テーマ切替。`theme.toml` の `[flavor]` に `dark` / `light` を指定。 |
| 4 | [[Zellij]]内でkitty graphics protocol(KGP)による画像プレビューが可能に。 |
| 4 | custom VFS provider。プラグインが独自のVFS(`trash://` など)を登録できる基盤。 |
| 3 | 一括作成(bulk create)。 |
| 3 | `H` / `M` / `L` のVim風カーソル移動(ビューポート相対)。 |
| 3 | visual modeのラップアラウンドスクロール。 |
| 3 | dynamic keymap Lua API、preloader / spotter / fetcherのdynamic Lua API。 |
| 3 | `find` / `filter` / `search` の正規表現でUnicode正規化に対応。 |
| 3 | 実験的なshell引数フォーマット `%y` `%Y` `%t` `%T` など(yank/選択対象の展開)。 |
| 2 | inputのコンテキスト対応アイコン、削除・上書き確認ダイアログでのファイルアイコン表示。 |
| 2 | which componentのボーダー設定、`ui.Input` 要素、`link --follow`、`theme` DDSイベント。 |
| 2 | input `backward` / `forward` のword単位動作の刷新(`wide` 指定)。 |
| 1 | Debian/Ubuntu向け公式APTリポジトリ、Niri上のÜberzug++プレビュー対応。 |
**変更(破壊的変更を含む)**
| 重要度 | 内容 |
|---:|---|
| 4 | `vfs.toml` のSFTPセクションが `[services.domain]` から `[sftp.domain]` に改名。 |
| 3 | `[help]`(`theme.toml`)で `on` → `chord`、`run` / `desc` → `action` に置換、`footer` 削除。 |
| 3 | `help:filter` action削除(フィルタ入力が常時有効になったため)。 |
| 3 | `mgr::Yanked` / `tab::Selected` / `@yank` DDSイベントの `__pairs()` が `Url` でなく `File` を返すように。 |
| 3 | `Url.is_archive` 削除。`archive://` は組み込みでなくなり、プラグインが登録する形に。 |
| 2 | `<BackTab>` を `<S-Tab>` に改名。 |
| 2 | `rt.term.light` が最新のカラースキームを返す関数に変更。 |
| 1 | Windows Legacy Console Mode削除。 |
**非推奨**
| 重要度 | 内容 |
|---:|---|
| 3 | `copy dirname` → `copy dirpath` へ移行推奨。 |
| 3 | `Url.is_regular` / `Url.is_search` / `Url.domain` → `Url.spec.*` へ移行推奨。 |
| 2 | `backward --far` / `forward --far` → `backward wide` / `forward wide` へ移行推奨。 |
| 2 | `tab::Mode.is_visual` → `tab::Mode.is_normal` へ移行推奨。 |
**バグ修正**
| 重要度 | 内容 |
| --: | ------------------------------------------------------------ |
| 4 | tmux 3.7bの再描画バグで画像プレビューが壊れる問題を回避。 |
| 3 | search viewからファイル削除後にリストが更新されない問題を修正。 |
| 3 | `ya pkg` のパッケージhashが改行コードの違いに影響されないよう修正。 |
| 3 | `magick` preset preloaderのキャッシュ形式をWebPにし、画像の透過を維持。 |
| 2 | Windowsの `\\?\` Verbatimパス、MSYS2/git-bashの `$PWD` 正規化まわりを修正。 |
**改善**
| 重要度 | 内容 |
|---:|---|
| 3 | 画像とUIの競合解決からハックを排除。 |
| 3 | 端末capabilityの検出を非同期化(起動時の体感改善)。 |
| 2 | custom scheme / custom styleへのSSO適用、バイナリサイズ・ビルド時間の削減。 |
## tokiへの影響と推奨対応
対象: toki `mnt/yazi/` 配下(`yazi.toml` / `keymap.toml` / `init.lua` / `plugins/`)。本体は既にv26.8.15へ更新済み・未起動の状態を前提とする。
### 影響評価: 設定ファイルの修正は不要
> [!add] #2026/08/24 追記
> この評価は誤りだった。`keymap.toml` の `shell` アクションで使っていた位置パラメータ `$0` がv26.8.15で**削除**されており、`$0` を使う12エントリすべてが動かなくなっていた。CHANGELOGに削除の記載がないため、リリースノートの差分調査では検知できなかった。詳細と対処は[[📝Yazi v26.8.15でkeymapのシェルコマンドが動かなくなった]]に記載。
- `yazi.toml`: 破壊的変更に該当なし
- `plugin.prepend_fetchers` は前回(v26.5.6)の `group` / `url` 形式へ移行済みで、今回の変更はない
- `vfs.toml` は未使用のためSFTPセクション改名の影響なし
- `keymap.toml`: 破壊的変更・非推奨に該当なし
- `<BackTab>` / `copy dirname` / `--far` / `help:filter` はいずれも未使用
- 新設のゴミ箱キー `g` → `t` は既存カスタマイズと衝突しない。`g` → `?`(help)もそのまま有効
- `init.lua` / 自作プラグイン(`folder-rules.yazi` / `bunny-private.yazi`): `ps.sub` / `ya.emit` のみ使用で、非推奨API(`Url.is_regular` 系・`is_visual` 系)は未使用
### 推奨対応
1. **初回起動前に `ya pkg upgrade` を実行する**(推奨度: 高)
- `package.toml` は公式プラグイン(git / full-border / smart-enter / toggle-pane / chmod)が `ac82af3`、[[bunny.yazi]]が `71b14a3`、[[system-clipboard.yazi]]が `75a5330` に固定されたまま
- 今回はplugin API変更(`__pairs()` が `File` を返す、`Url` API再編)があり、本体だけ新しい状態はv26.5.6更新時と同種の警告・不具合(ボーダーずれ・deprecation警告)の再演になりやすい。[[プラグインをアップデート (Yazi)|プラグインをアップデート]]を先に済ませるのが安全
2. **[[Zellij]]をv0.45.0へ更新すると画像プレビューがKGPになる**(推奨度: 中)
- ZellijのKGP対応は 2026-07-31 マージ、v0.45.0(2026-08-20公開)に収録。現在のv0.44.3では従来どおりSixelフォールバック
- [[📝Zellijの中でYaziを起動して画像をプレビューすると謎のキー入力が発生してしまう]]で扱った領域なので、更新後にプレビュー挙動を一度確認するとよい
3. **自動ダーク/ライトテーマ切替を試す**(任意)
- 現在 `theme.toml` は未使用。作成して `[flavor]` に `dark` / `light` を指定すればOSモードに追従する。[[フレーバー (Yazi)|フレーバー]]を使い分けたい場合のみ
4. **ゴミ箱・input履歴は設定不要でそのまま使える**(情報)
- `g` → `t` でゴミ箱、`O` で復元・完全削除。誤削除からの復元導線ができたのは日常利用で大きい
# Yazi v26.8.15 新機能詳細レポート
本レポートでは、リリース内容のうち重要度3以上と判断した項目を中心に詳述する。
重要度の基準:
- 5: 移行・互換性・日常利用への影響が非常に大きい
- 4: ユーザー体験またはプラグイン拡張性への影響が大きい
- 3: 特定用途で有用、または設定・プラグイン開発に影響する
## 重要度5
### ゴミ箱(trash bin)
関連: #4144, #4204, #4212
preset plugin `trash.lua` としてゴミ箱管理が組み込まれた。デフォルトキーバインド `g` → `t` でゴミ箱を開ける。
後述のcustom VFS provider上に `trash://` として実装されており、次をサポートする:
- クロスプラットフォーム対応(Linux / macOS / Windows)
- ゴミ箱内ファイルのプレビュー・オープン
- 新しい `trash` opener(`O`)による単一・複数選択ファイルの復元、ゴミ箱を空にする操作
- サブディレクトリへの移動とそこからの復元
- ゴミ箱内の変化の自動リフレッシュ、同名アイテムの表示・操作
主な影響:
- 誤削除からの復元がYazi内で完結する
- これまで外部ツール頼みだったゴミ箱操作が標準化
## 重要度4
### ドラッグ&ドロップ
関連: #4005, #4225
Yazi内のファイルを他アプリケーションへドラッグ&ドロップで渡せるようになった(逆方向のドロップ受け取りも可)。TUIファイラーとGUIアプリの橋渡しとして日常操作への影響が大きい。
ただし利用にはターミナル側が[kitty Drag and Drop protocol(OSC 72)](https://sw.kovidgoyal.net/kitty/dnd-protocol/)へ対応している必要があり、対応状況は2026-08-23時点で次のとおり:
- kitty v0.47.0以降: 対応(プロトコル策定元。現時点で唯一の対応ターミナル)
- [[Ghostty]]: 未対応だが実装が進行中。tracking issueは[ghostty-org/ghostty#12852](https://github.com/ghostty-org/ghostty/issues/12852)(open、milestone未設定)
- OSC 72パーサは[#13029](https://github.com/ghostty-org/ghostty/pull/13029)でマージ済み(2026-07-04、milestone 1.4.0。actionは未接続)
- drop方向(GUI→ターミナル)のコアロジックとステートマシンはmitchellh本人の[#13973](https://github.com/ghostty-org/ghostty/pull/13973)でマージ済み(2026-08-22、milestone 1.4.0)。ただしlibghostty-vtのZig APIまでで、GUIには未接続。drag source(ターミナル→GUI。Yaziからファイルを掴む方向)は未実装と明記されている
- つまり1.4.0にこれらのコミットは含まれる見込みだが、**ユーザーが使えるD&Dとして1.4.0に載るかは未確定**(特にYaziの主用途であるdrag方向は手つかず)
- WezTerm: 未対応([wezterm#7908](https://github.com/wezterm/wezterm/issues/7908) open)
なおYaziとターミナルの間に[[Zellij]]を挟む構成では、Ghosttyが対応した後もZellij側のエスケープシーケンス通過対応が別途必要になる可能性がある(KGP対応と同じ構図)。
### ヘルプメニューのコマンドパレット化
関連: #4074
ヘルプメニューがコマンドパレットとして再設計され、フィルタ入力が常時有効になった。
破壊的変更を伴う:
- `help:filter` actionは削除(不要になったため)
- `theme.toml` の `[help]` は `on` → `chord`、`run` / `desc` → `action` に置換、`footer` 削除
主な影響:
- キーバインドを思い出せないときの探索が速くなる
- `[help]` をカスタマイズしていた場合は移行が必要
### input履歴
関連: #4104
input(リネーム・検索などの入力欄)で過去の入力を呼び出せるようになった。繰り返しの多いリネームや検索で効く。
### OSに追従する自動ダーク/ライトテーマ切替
関連: #4196
`CSI ? 997`(現在のカラースキーム問い合わせ)と `CSI ? 2031`(変更の購読)に対応し、OSのダーク/ライトモード変更へリアルタイムに追従する。
```toml
# ~/.config/yazi/theme.toml
[flavor]
dark = "catppuccin-macchiato"
light = "catppuccin-latte"
```
あわせて `rt.term.light` は呼び出しごとに最新のカラースキームを返す関数へ変更された(破壊的変更)。
主な影響:
- OSのモード切替にYaziの[[フレーバー (Yazi)|フレーバー]]が自動追従
- `rt.term.light` をプロパティとして参照するプラグインは修正が必要
### Zellij内でのkitty graphics protocol画像プレビュー
関連: #4216
[[Zellij]]がkitty graphics protocol(KGP)に対応したことを受け、YaziはKGP対応端末ではKGPを優先し、非対応ならSixelへフォールバックするようになった。
主な影響:
- Zellij内の画像プレビューが高品質・安定に
- Zellij側はv0.45.0以降が必要
### custom VFS provider
関連: #4118
プラグインが独自のVFS(仮想ファイルシステム)を登録できるようになった。ゴミ箱(`trash://`)もこの上に実装されている。
破壊的変更を伴う:
- `archive://` が組み込みでなくなり、`Url.is_archive` は削除
- `Url.is_regular` / `Url.is_search` / `Url.domain` は `Url.spec.*` へ非推奨化
主な影響:
- リモートストレージ・アーカイブ・特殊ビューなどをプラグインでVFSとして表現できる
- `Url` APIに依存するプラグインは追従が必要
### SFTP設定セクションの改名
関連: #4120
`vfs.toml` のSFTP設定が `[services.domain]` から `[sftp.domain]` へ改名された。SFTP利用者は設定修正が必要。
## 重要度3
### 一括作成(bulk create)
関連: #3793
エディタ経由で複数のファイル・ディレクトリをまとめて作成できるようになった。既存のbulk renameと対になる操作。
### `H` / `M` / `L` カーソル移動とvisual modeのラップアラウンド
関連: #3970, #4101
ビューポートの上端・中央・下端へカーソルを移動するVim風の `H` / `M` / `L` motionが追加された。visual modeでは画面端を越えるスクロールを伴う選択が可能になった。
なお `tab::Mode.is_visual` は `tab::Mode.is_normal` へ非推奨化されている。
### dynamic keymap / preloader / spotter / fetcher Lua API
関連: #4031, #4235
キーマップとpreloader / spotter / fetcherをLuaから動的に追加・変更・削除できるようになった。v26.5.6のdynamic open / previewer APIに続く流れで、プラグインが状況に応じて挙動を組み替えられる範囲がさらに広がった。
### `find` / `filter` / `search` のUnicode正規化
関連: #4177
ユーザーが入力する正規表現パターンにUnicode正規化が適用されるようになった。macOSのNFD問題などで、日本語ファイル名の検索が合成・分解形の違いで漏れるケースに効く。
### 実験的なshell引数フォーマット
関連: #4108
`shell` 実行時の引数に `%y`(yank対象)、`%t`(タブ)など8種のフォーマットパラメータが追加された(実験的)。従来の `"$0"` / `"$@"` より対象を細かく指定できる。
### yank系APIの返却型変更
関連: #4096
`mgr::Yanked` / `tab::Selected` / `@yank` DDSイベントの `__pairs()` が `Url` でなく `File` を返すようになった(破壊的変更)。ファイルアイコンなどメタ情報へ直接アクセスできるようになる一方、`Url` 前提のプラグインは修正が必要。
### `copy dirname` の非推奨化
関連: #4169
`copy dirname` は `copy dirpath` へ改名され、非推奨になった。preset keymapの `c` → `d` を上書きしている場合は表記の更新を推奨。
### tmux 3.7b画像プレビュー修正・その他
関連: #4195, #4064, #4065
- tmux 3.7bの再描画バグによる画像プレビュー破損を回避
- `ya pkg` のパッケージhash計算が改行コードに影響されないよう修正(Windows/gitの `autocrlf` 環境でのhash不一致対策)
- `magick` preset preloaderのキャッシュをWebP化し、PNG等の透過が保たれるように
## 参考リンク
- Release v26.8.15: https://github.com/sxyazi/yazi/releases/tag/v26.8.15
- Changelog v26.8.15: https://github.com/sxyazi/yazi/blob/main/CHANGELOG.md#v26815
- Compare v26.5.6...v26.8.15: https://github.com/sxyazi/yazi/compare/v26.5.6...v26.8.15
- Trash bin PR: https://github.com/sxyazi/yazi/pull/4144
- Zellij KGP対応PR(Yazi側): https://github.com/sxyazi/yazi/pull/4216
- Zellij KGP対応PR(Zellij側): https://github.com/zellij-org/zellij/pull/5428