[[📒Articles]] > [[📒2025 Articles]] ![[2025-11-09.webp|cover-picture]] 3年以上変えずに継続してきた[[Obsidian]]のタブ戦略を見直してみました。[[Neovim]]の設計思想を取り入れつつ、[[Obsidian]]のユースケースにあった新しいタブ戦略を紹介します。 ## はじめに 約3年前、[[Obsidian]]のv1.0がリリースされたタイミングで[[Tab Stacks]]を使う方針に変えました。切り替えた理由は『[[Tab Stacks]]によって[[Sliding Panes]]のデメリットが消えたから』というものでした。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> 💿OBS-0002 Tab Stacksを使う </div> <div class="link-card-v2-content">Obsidian v0.16でTabとTab Stacksの概念が追加された。これにより、今までとは操作性が大きく変わるため、この機会にObsidian利用時の戦略やキーバインドを見直そうと思った。</div> <img class="link-card-v2-image" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/Notes/attachments/obs-adr.webp" /> <a data-href="💿OBS-0002 Tab Stacksを使う" class="internal-link"></a> </div> %%[[💿OBS-0002 Tab Stacksを使う]]%% それから少し経ち、2023年末には[[Neovim]]を使うようになりました。そして、2024年9月には[[Minerva]]以外の[[PKM]]や日々のメモ、タスク管理も[[Neovim]]で賄うようになりました。 しかし、翌年の2025年2月、商用ライセンスなしで[[Obsidian]]の商用利用が可能になったことで状況が変わりました。さらに、2025年5月にはPCを[[Windows]]から[[macOS]]に移行したこともあり、2025年の7月には再び[[PKM]]や日々のメモ、タスク管理に[[Obsidian]]を使うようになりました。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> 📰2025-07-15 Obsidianを仕事でも使うための準備と設計について </div> <div class="link-card-v2-content">Obsidianの商用ライセンス不要化やmacOS移行により、タスク管理・ドキュメント管理・PKMを仕事で活用する設計やプラグイン移行、Markdown・検索・補完・Vimモード・Canvas対応などのポイントを解説する。</div> <img class="link-card-v2-image" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/Notes/attachments/report.webp" /> <a data-href="📰2025-07-15 Obsidianを仕事でも使うための準備と設計について" class="internal-link"></a> </div> %%[[📰2025-07-15 Obsidianを仕事でも使うための準備と設計について]]%% その後は2ヶ月ほど、公私共に毎日[[Obsidian]]を使っていましたが、以前に比べて違和感を覚えるようになりました。[[Neovim]]を使っているときに感じていた本能に接続されたような吸い付く感覚が[[Obsidian]]には感じられなかったのです。 これは単なる慣れの問題かもしれません。それでも、私は **[[Neovim]]と同じエディタ分割の操作性を自分でも気づかないほど自然な形で[[Obsidian]]に求めている** ことに気づきました。 ## [[Neovim]]の設計思想とは [[Neovim]]では大きく3つの概念があります。[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]、[[バッファ (Vim)|バッファ]]、そして[[タブ (Vim)|タブ]]です。 ![[2025-10-27-22-46-37.avif]] > [!hint] > [[barbar.nvim]]を利用しているため、[[バッファ (Vim)|バッファ]]はタブっぽいUIに表示されています。 [[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]はコンテンツを表示する領域であり、[[バッファ (Vim)|バッファ]]はメモリに保持された内容(主にファイルの中身)です。[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]がテレビなら、[[バッファ (Vim)|バッファ]]は配信中のテレビ番組とも言えるでしょう。そして、[[タブ (Vim)|タブ]]は複数の[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]を束ねる作業単位[[タブページ (Vim)|タブページ]]を表現するUIです。 一見すると、[[VSCode]]と似ているように思えますが、根底の考え方は違います。 [[VSCode]]の[[エディタ (VSCode)|エディタ]]は[[エディタグループ (VSCode)|エディタグループ]]に所属する ([[エディタグループ (VSCode)|エディタグループ]]を閉じるとエディタも閉じられる) のに対し、[[Neovim]]の[[バッファ (Vim)|バッファ]]は[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]に所属していません。[[バッファ (Vim)|バッファ]]は複数の[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]間... さらに言えば、[[タブ (Vim)|タブ]]間で共有されている概念です。 [[Neovim]]では、[[バッファ (Vim)|バッファ]]を開いて(ファイルの内容を[[バッファ (Vim)|バッファ]]に読み込んで)から、どの[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]](複数可)にアタッチさせるかという考え方になります。 言葉での説明には限界があるので、簡単な操作動画を撮ってみました。なんとなく雰囲気を感じ取っていただけたら幸いです。(普段は数倍のスピードで操作しています)  『この感覚を[[Obsidian]]で再現したい...!!』というのが本記事のテーマになります。 ## 概念の設計 [[Neovim]]の概念を[[Obsidian]]で再現するには何をすればいいでしょうか。まずは概念の設計をします。すなわち、『[[Neovim]]のアレは[[Obsidian]]だと何にあたるのか？』を定義します。 | Neovimの概念 | Obsidianの近しい概念 | | ---------------------- | ------------------------------- | | [[バッファ (Vim)\|バッファ]] | ([[タブ (Obsidian)\|タブ]]) | | [[ウィンドウ (Vim)\|ウィンドウ]] | [[タブグループ (Obsidian)\|タブグループ]] | | [[タブ (Vim)\|タブ]] | [[ワークスペース (Obsidian)\|ワークスペース]] | ### [[バッファ (Vim)|バッファ]]の概念はあきらめる [[Obsidian]]の概念も[[VSCode]]と近しく、[[タブ (Vim)|タブ]]は[[タブグループ (Obsidian)|タブグループ]]に所属しています。つまり、[[タブグループ (Obsidian)|タブグループ]]を閉じると[[タブ (Vim)|タブ]]もすべて閉じられます。そのため、[[Obsidian]]で[[Neovim]]の[[バッファ (Vim)|バッファ]]と等しい概念を構築するのは難しいです。 一度、[[バッファ (Vim)|バッファ]]の概念を再現できないか検討したこともありましたが、断念しました。なぐり書きではありますが、そのとき考えたことは以下のノートに記載しています。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> 🧠Obsidianの新しいタブグループ操作戦略を考える </div> <div class="link-card-v2-content">Neovimのようなウィンドウ・バッファ管理に近いかたちを実現できないかという話。最終的にはADRに移動する可能性が高いかも。</div> <img class="link-card-v2-image" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/Notes/attachments/brain.webp" /> <a data-href="🧠Obsidianの新しいタブグループ操作戦略を考える" class="internal-link"></a> </div> %%[[🧠Obsidianの新しいタブグループ操作戦略を考える]]%% また、上記ノートにもありますが、[[Obsidian]]における[[バッファ (Vim)|バッファ]]再現の恩恵はそこまでないとも結論づけています。 私が[[Neovim]]の[[バッファ (Vim)|バッファ]]を利用するケースは以下3点ですが、いずれも[[Obsidian]]ではそこまで重要度の高くないケースと言えます。 - **変更のある(保存されていない)モノと、変更のないモノを区別したい** - [[Obsidian]]はオートセーブなので、この用途には使えない - **ホットキーで好きな[[バッファ (Vim)|バッファ]]を即座にアタッチしたい** - [[🦉Another Quick Switcher]]の機能でカバーできるケースが多い - **ファイルとして保存したくないけど一時的なエディタ領域が欲しい** - `Untitled` というファイル名で作成して、不要になったら消せばいい ### [[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]と[[タブ (Vim)|タブ]]の概念はマッチする [[バッファ (Vim)|バッファ]]の再現を諦めれば、[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]と[[タブ (Vim)|タブ]]の再現は可能です。実現方法はこのあとのセクションで紹介していきます。 ## 前提 ### [[コミュニティプラグイン]] 以下の[[コミュニティプラグイン]]がインストールされている前提で進めていきます。 #### [[Vimrc Support Plugin (Obsidian)|Vimrc Support Plugin]] [[Vimモード (Obsidian)|Vimモード]]のキーバインドを設定するためのプラグインです。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> GitHub - esm7/obsidian-vimrc-support: A plugin for the Obsidian.md note-taking software </div> <div class="link-card-v2-content"> A plugin for the Obsidian.md note-taking software. Contribute to esm7/obsidian-vimrc-support development by crea ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://opengraph.githubassets.com/058d4e13902d52d78b1ce7a37b575683bcae97d67e79314147248a0cf092158d/esm7/obsidian-vimrc-support" /> <a href="https://github.com/esm7/obsidian-vimrc-support"></a> </div> 以降で登場する[[vimrc]]っぽい記述のコードブロックは、[[Vimrc Support Plugin (Obsidian)|Vimrc Support Plugin]]の `obsidian.vimrc` に記載する内容となります。 #### [[🦉Another Quick Switcher]] IDEのようなクイックスイッチャー機能を提供するプラグインです。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> GitHub - tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher: This is an Obsidian plugin which is another choice of Quick switcher. </div> <div class="link-card-v2-content"> This is an Obsidian plugin which is another choice of Quick switcher. - tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-sw ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://opengraph.githubassets.com/957e242ecaea92d2783b98e3a5c4228cddbfbf3901b7b7f3f9ef14e6a8289097/tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher" /> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher"></a> </div> [[telescope.nvim]]や[[snacks.picker]]と同じような位置づけで使用します。 #### [[🦉Shukuchi]] 近くのリンク先([[内部リンク]] or [[URL]])に瞬間移動するプラグインです。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> GitHub - tadashi-aikawa/shukuchi: Shukuchi is an Obsidian plugin that enables you to teleport to links (URL or internal link). </div> <div class="link-card-v2-content"> Shukuchi is an Obsidian plugin that enables you to teleport to links (URL or internal link). - tadashi-aikawa/sh ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://opengraph.githubassets.com/1acbd34c406949a3048a01d71a6c9a0a8961dcf00224308a9d7840f1e7f48310/tadashi-aikawa/shukuchi" /> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/shukuchi"></a> </div> #### [[🦉Carnelian]] 自分専用につくったアーミーナイフのようなプラグインです。[[コミュニティプラグイン]]としては配布していないため、自分でビルドする必要があります。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> GitHub - tadashi-aikawa/carnelian: Obsidianのプラグイン機能を使って、IncredibleなObsidian体験を実現するための機能を提供する宝石。紅玉髄(カーネリアン)。 </div> <div class="link-card-v2-content"> Obsidianのプラグイン機能を使って、IncredibleなObsidian体験を実現するための機能を提供する宝石。紅玉髄(カーネリアン)。 - tadashi-aikawa/carnelian ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://repository-images.githubusercontent.com/734207770/40b62f8b-1d6d-49d9-b4a7-efd688f64ced" /> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/carnelian"></a> </div> 今回利用する[[🦉Carnelian]]のコマンドは、`data.json` で有効にする必要があります。 ```json { "$schema": "./config.schema.json", "all": { "Create new note horizontally": true, "Create new note vertically": true, "Move to next workspace": true }, "file": { }, "editor": { } } ``` ### バッファに近い概念の設定 [[Tab Stacks]]を有効にしている場合は、エディタ右上の `Unstack tabs` で無効にしておきましょう。 ![[2025-10-28-08-35-33.avif|frame]] [[Tab Stacks]]を使わないほうが、[[Neovim]] x [[barbar.nvim]]のUIに近いのでオススメです。 ## ウィンドウの再現 まずは[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]の挙動を再現していきます。 ### 基本操作 [[Neovim]]の以下コマンドについて。 | No | コマンド | キーマップ or [[Exコマンド]] | | --- | --------------- | ------------------- | | 1 | 右のウィンドウに移動 | `<C-w>l` | | 2 | 左のウィンドウに移動 | `<C-w>h` | | 3 | 上のウィンドウに移動 | `<C-w>k` | | 4 | 下のウィンドウに移動 | `<C-w>j` | | 5 | 水平方向にウィンドウを複製 | `<C-w>s` | | 6 | 垂直方向にウィンドウを複製 | `<C-w>v` | | 7 | 水平方向に新しいバッファを開く | `:new` | | 8 | 垂直方向に新しいバッファを開く | `:vnew` | | 9 | ウィンドウを閉じる | `:q` | これらはすべて `obsidian.vimrc` で設定できます。 ``` " 1. 右のウィンドウに移動 noremap <M-w>l :obcommand<Space>editor:focus-right<CR> " 2. 左のウィンドウに移動 noremap <M-w>h :obcommand<Space>editor:focus-left<CR> " 3. 上のウィンドウに移動 noremap <M-w>k :obcommand<Space>editor:focus-top<CR> " 4. 下のウィンドウに移動 noremap <M-w>j :obcommand<Space>editor:focus-bottom<CR> " 5. 水平方向にウィンドウを複製 noremap <M-w>s :obcommand<Space>workspace:split-horizontal<CR> " 6. 垂直方向にウィンドウを複製 noremap <M-w>v :obcommand<Space>workspace:split-vertical<CR> " 7. 水平方向に新しいバッファを開く exmap new obcommand carnelian:carnelian_create-new-note-horizontally " 8. 垂直方向に新しいバッファを開く exmap vnew obcommand carnelian:carnelian_create-new-note-vertically " 9. ウィンドウを閉じる exmap q obcommand workspace:close-tab-group ``` > [!question] `<C-*>`ではなく`<M-*>`を使っている理由は？ > [[macOS]]では⌘キーを使いたいため、Obsidianでは`<M-*>`に割り当てています。ターミナル([[Ghostty]])では⌘＝Ctrlとして扱えるため[[Neovim]]では`<C-*>`で動作します。 ### 定義に移動 私は[[LSP]]に以下のようなキーマップを設定しています。 | No | コマンド | キーマップ | | --- | -------------- | --------- | | 1 | 定義に移動 | `<C-]>` | | 2 | 水平方向に分割して定義に移動 | `g]` | | 3 | 垂直方向に分割して定義に移動 | `<C-S-]>` | > [!hint]- `nvim/lua/lsp.lua` の関連箇所 > ```lua > vim.api.nvim_create_autocmd("LspAttach", { > group = vim.api.nvim_create_augroup("UserLspConfig", {}), > callback = function(ev) > > -- 中略 > > vim.keymap.set("n", "<C-]>", vim.lsp.buf.definition, opts) > vim.keymap.set("n", "<C-S-]>", function() > vim.cmd([[ vsplit ]]) > vim.lsp.buf.definition() > end, opts) > vim.keymap.set("n", "g]", function() > vim.cmd([[ split ]]) > vim.lsp.buf.definition() > end, opts) > > -- 中略 > > end > }) > ``` これらも `obsidian.vimrc` で設定できます。 ``` " 定義に移動 noremap <M-]> :obcommand<Space>shukuchi:open-link<CR> " 水平方向に分割して定義に移動 noremap g] :obcommand<Space>shukuchi:open-link-in-new-tabgroup-horizontally<CR> " 垂直方向に分割して定義に移動 noremap <M-S-]> :obcommand<Space>shukuchi:open-link-in-new-tabgroup<CR> ``` ### クイックスイッチャーから開く 私は[[snacks.picker]]を使っており、ピッカーに対して以下のようなキーマップを設定しています。 | No | コマンド | キーマップ | | --- | ----------- | -------- | | 1 | 開く | `<CR>` | | 2 | 水平方向に分割して開く | `<C-s>` | | 3 | 垂直方向に分割して開く | `<C-CR>` | > [!hint]- `nvim/lua/plugins/snacks.lua` の関連箇所 > ```lua > return { > "folke/snacks.nvim", > -- 中略 -- > opts = { > -- 中略 > picker = { > -- 中略 > win = { > input = { > keys = { > -- 他2つはデフォルトでバインドされている > ["<C-CR>"] = { "edit_vsplit", mode = { "i", "n" } }, > -- 中略 > }, > }, > }, > } > } > ``` これらは[[🦉Another Quick Switcher]]にて、[Dialog Commands](https://github.com/tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher?tab=readme-ov-file#-dialog-commands)の各設定に割り当てます。 | No | Command | Keybinding | | --- | ----------------------------- | ----------- | | 1 | open | `Enter` | | 2 | open in new pane (horizontal) | `Mod s` | | 3 | open in new pane (vertical) | `Mod Enter` | ![[2025-11-03-23-59-26.avif|frame]] *Main dialogの設定例* `open in new tab` は『選択ファイルを新しい[[タブ (Obsidian)|タブ]]で開く』コマンドです。通常の `open` と使い分けることができるなら便利だと思います。 > [!question] [[🦉Another Quick Switcher]]の利用は必須なのか？ > [[コアプラグイン]]の[[Quick switcher]]は『 **垂直** 方向に分割して開く』ことはできますが、『 **水平** 方向に分割して開く』ことはできません。それを許容できるのであれば、[[Quick switcher]]でも十分だと思います。 ### Obsidianのタブ操作 最後に[[Obsidian]]の[[タブ (Obsidian)|タブ]]に関するキーマップを紹介します。[[バッファ (Vim)|バッファ]]とは異なる概念ですが、操作感が似ている方がメリットがあります。 私は[[snacks.bufdelete]]と[[barbar.nvim]]の以下コマンドにキーマップを設定しています。 | No | コマンド概要 | キーマップ | | --- | ---------------------- | ---------- | | 1 | 現在のバッファを閉じる | `<Space>q` | | 2 | 次のバッファに移動 | `<Space>l` | | 3 | 前のバッファに移動 | `<Space>h` | | 4 | 非可視のバッファをすべて閉じる | `<Space>w` | | 5 | バッファを選択してカレントウィンドウにセット | `<Space>e` | > [!hint]- `nvim/lua/plugins/snacks.lua` の関連箇所 > ```lua > return { > "folke/snacks.nvim", > -- 中略 > keys = { > {"<Space>q", function() Snacks.bufdelete() end, silent = true}, > -- 中略 > } > } > ``` > [!hint]- `nvim/lua/plugins/barbar.lua` の関連箇所 > ``` > vim.keymap.set("n", "<Space>l", ":BufferNext<CR>", { silent = true }) > vim.keymap.set("n", "<Space>h", ":BufferPrevious<CR>", { silent = true }) > vim.keymap.set("n", "<Space>w", ":BufferCloseAllButVisible<CR>", { silent = true }) > vim.keymap.set("n", "<Space>e", ":BufferPick<CR>", { silent = true }) > ``` 1~4は `obsidian.vimrc` で設定できます。 ``` " 1. 現在のバッファを閉じる noremap <Space>q :obcommand<Space>workspace:close<CR> " 2. 次のバッファに移動 noremap <Space>l :obcommand<Space>workspace:next-tab<CR> " 3. 前のバッファに移動 noremap <Space>h :obcommand<Space>workspace:previous-tab<CR> " 4. 非可視のバッファをすべて閉じる noremap <Space>w :obcommand<Space>workspace:close-others-tab-group<CR> ``` 5は[[🦉Another Quick Switcher]]でSearch targetを `opened file` にすると候補は表示できます。しかし、異なる[[タブグループ (Obsidian)|タブグループ]]に存在する[[タブ (Obsidian)|タブ]]を[[アクティブタブグループ (Obsidian)|アクティブタブグループ]]で開くことはできないため断念しました。 代わりに[[🦉Another Quick Switcher]]の初期設定されているコマンドである[[Recent search]]を使います。そうすれば、異なる[[タブグループ (Obsidian)|タブグループ]]に存在する[[タブ (Obsidian)|タブ]]を[[アクティブタブグループ (Obsidian)|アクティブタブグループ]]で開くことができます。開いている[[タブ (Obsidian)|タブ]]以外にも多数の候補が表示されますが、開いている[[タブ (Obsidian)|タブ]]は最近開いたものであることが多いため、簡単に絞り込み特定できると思います。 ### 動画 これまでの内容を一度動画に撮ってみました。  [[Neovim]]の[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]操作と似たような感触であることが伝われば幸いです。 ## タブの再現 まだ終わりではありません。[[Neovim]]の[[タブ (Vim)|タブ]]を[[Obsidian]]の[[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]で再現します。 ### 基本方針 [[Neovim]]の[[タブ (Vim)|タブ]]は[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]とそこにアタッチされている[[バッファ (Vim)|バッファ]]の一式を切り替えます。開かれている[[バッファ (Vim)|バッファ]]のリストは異なる[[タブ (Vim)|タブ]]間で共有されますが、[[バッファ (Vim)|バッファ]]の再現はスコープ外のため気にしません。 [[Obsidian]]でこの挙動を最も再現できるのは[[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]の切り替えです。[[コアプラグイン]]の[[Workspaces (Obsidian)|Workspaces]]を利用することで、[[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]の管理・切り替えができます。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/f786db9fac45774fa4f0d8112e232d67/favicon-96x96.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Obsidian Help</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> Workspace - Obsidian Help </div> <div class="link-card-v2-content"> Desktop In the Obsidian desktop app the workspace includes: Tab groups, in the central content area which can be ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://ogimage.obsidian.md/og-image.png?title=Workspace&description=Desktop+In+the+Obsidian+desktop+app+the+workspace+includes%3A+Tab+groups%2C+in+the+central+content+area+which+can+be+split+vertically+or+horizontally+Tabs+Sidebars+which+can+be+collapsed+on+the+left+and+%E2%80%A6&logoUrl=https%3A%2F%2Fpublish-01.obsidian.md%2Faccess%2Ff786db9fac45774fa4f0d8112e232d67%2Ffavicon-96x96.png&siteName=Obsidian+Help" /> <a href="https://help.obsidian.md/workspace"></a> </div> もし設定で[[Workspaces (Obsidian)|Workspaces]]を有効にしていない場合は有効にしてください。 ![[2025-11-08-19-10-43.avif]] ### [[Neovim]]におけるタブの使い方 私が[[Neovim]]で使う[[タブ (Vim)|タブ]]の操作は3つだけです。 | No | コマンド | キーマップ or [[Exコマンド]] | | --- | --------- | ------------------- | | 1 | 新しいタブを開く | `:tabnew` | | 2 | 次のタブに移動 | `gt` | | 3 | 現在のタブを閉じる | `:tabc` | 基本的には1つの[[タブ (Vim)|タブ]]だけで作業をします。今のレイアウトをキープしたまま別の作業を行いたい場合のみ、`:tabnew` で[[タブ (Vim)|タブ]]を2つにします。 また、3つ以上の[[タブ (Vim)|タブ]]を使うことはめったにありません。脳の管理が追いつかなくなるからです。そのため、前のタブに移動 (`gT`) のキーマップは利用しません。 ### [[Workspaces (Obsidian)|Workspaces]]プラグインに欠けているもの [[Workspaces (Obsidian)|Workspaces]]プラグインのコマンドは以下4つだけです。 | No | コマンド | 説明 | | --- | ---------------------------- | -------------------------------------- | | 1 | Save layout | 現在の[[ワークスペース (Obsidian)\|ワークスペース]]を保存 | | 2 | Load workspace layout | 別の[[ワークスペース (Obsidian)\|ワークスペース]]を読み込む | | 3 | Save and load another layout | 1のあとに2を行う | | 4 | Manage workspace layouts | [[ワークスペース (Obsidian)\|ワークスペース]]を管理する | 実はこれらのコマンドでは、以下の操作をキー一発で行うことができません。どの操作もダイアログでの操作が必要であり、頻繁に実行する場合は面倒です。 | 操作 | できない理由 | | --------- | --------------------- | | 新しいタブを開く | 対話式で作成する必要があるから (No4) | | 次のタブに移動 | 対話式で選択する必要があるから (No3) | | 現在のタブを閉じる | 対話式で削除する必要があるから (No4) | また、[[Neovim]]を終了して起動しなおすと、[[セッション (Neovim)|セッション]]を保存していない限り、[[タブ (Vim)|タブ]]は1つに戻ってすべては初期化されています。一方で[[Obsidian]]はアプリケーションを閉じる直前の状態が起動後に引き継がれるという違いがあります。 ### [[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]の切り替え [[バッファ (Vim)|バッファ]]と同様に、[[Obsidian]]で[[タブ (Vim)|タブ]]を完全再現するのは費用対効果が見合いません。そのため、最も重要な以下2つの再現のみに集中します。 - [[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]は常時2つ存在するものとする - 1つでもないし、3つ以上にもならない - `gt` キーで[[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]の切り替えができる [[Workspaces (Obsidian)|Workspaces]]の `Manage workspace layouts` コマンドを使って、あらかじめ2つの[[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]を作成します。名前は何でもOKです。 ![[2025-11-08-19-33-22.avif|frame]] `obsidian.vimrc` に記載するコマンドは1つだけです。 ``` " 次のワークスペースへ移動 noremap gt :obcommand<Space>carnelian:carnelian_move-to-next-workspace<CR> ``` これで、**`gt` を押すと2つの[[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]を切り替えられる**ようになります。 ### 実現方法 実装に関する余談です。[[Workspaces (Obsidian)|Workspaces]]プラグインには、次の[[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]に移動するコマンドがない以外にも、以下のような状態保存の制約がありました。 - アクティブな[[リーフ (Obsidian)|リーフ]]が保存されない - エディタのカーソル位置が保存されない - エディタのスクロール状態が保存されない [[Neovim]]の[[タブ (Vim)|タブ]]を期待する人にとって、これらの制約は致命的です。ちょっと作業を中断し、別の作業を行い、戻ってきたら速やかに再開したいのに、[[コンテキストスイッチ]]の切り替えコストがかかりすぎます。 先ほど設定した[[🦉Carnelian]]の `Move to next workspace` コマンドには、これらの状態を保存して復元する機能も追加しています。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> carnelian/src/commands/move-to-next-workspace.ts at 6eeaff1cba16b9bdf6032c401c06e75a4ff60e6a · tadashi-aikawa/carnelian </div> <div class="link-card-v2-content"> Obsidianのプラグイン機能を使って、IncredibleなObsidian体験を実現するための機能を提供する宝石。紅玉髄(カーネリアン)。 - tadashi-aikawa/carnelian ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://repository-images.githubusercontent.com/734207770/40b62f8b-1d6d-49d9-b4a7-efd688f64ced" /> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/carnelian/blob/6eeaff1cba16b9bdf6032c401c06e75a4ff60e6a/src/commands/move-to-next-workspace.ts?plain=1#L26"></a> </div> ### 動画 こちらも動画を撮影してみました。  その気になれば3つ以上の[[ワークスペース (Obsidian)|ワークスペース]]や『前のワークスペースへ移動』、『ワークスペースを閉じる』にも対応できると思いますが、私の利用用途ではオーバーキルのため今は実装していません。もし需要があれば実装するかもしれません。 ## まとめ [[Neovim]]の思想を取り入れた[[Obsidian]]の新しいタブ戦略とその実現方法を紹介しました。 [[バッファ (Vim)|バッファ]]の再現は諦めましたが、[[ウィンドウ (Vim)|ウィンドウ]]と[[タブ (Vim)|タブ]]については実用に耐えうるレベルまで再現できたと思います。 | Neovimの概念 | Obsidianの近しい概念 | 再現 | | ---------------------- | ------------------------------- | --- | | [[バッファ (Vim)\|バッファ]] | ([[タブ (Obsidian)\|タブ]]) | しない | | [[ウィンドウ (Vim)\|ウィンドウ]] | [[タブグループ (Obsidian)\|タブグループ]] | する | | [[タブ (Vim)\|タブ]] | [[ワークスペース (Obsidian)\|ワークスペース]] | する | [[Obsidian]]と[[Neovim]]は基本的にターゲットユーザー層が異なるため、操作感も異なることが多いです。ただ、どちらのエディタも愛用している身としては、[[Obsidian]]や[[Neovim]]のプラグイン機構を通して、それぞれの良い点を共有できるようにしていけたらいいなと思っています。