[[📒Articles]] > [[📒2025 Articles]] ![[2025-05-15.webp|cover-picture]] はじめてパソコンを触ったときから33年間お世話になった[[Windows]]とお別れして、[[macOS]]に移行しました。その経緯と記録を綴ります。 ## プロローグ ### 社会人になるまで 私が大学に入学するまでの間、[[OS]]の選択肢はほぼ[[Windows]]一択でした。もちろん他にも色々な[[OS]]はありましたが、『パソコンといえば[[Windows]]』という状態であり、そもそも[[OS]]というもの自体を意識することすらあまりなかったと思います。大学の講義ではじめて[[Linux]]に触れた際は、『なぜこんな分かりにくいものを？』と疑問に思ったものです。 大学院生活が始まって間もない頃にビッグなイベントがありました。2008年7月11日、[[iPhone]]の発売です。[[Apple]]が好きな後輩は[[MacBook]]とあわせて使っており、如何に[[MacBook]]が素晴らしいかを教えてくれたものでした。画面の綺麗さやオシャレな媒体は好印象だったものの、研究室のパソコンは[[Windows]]でしたし、個人的に困ってなかったので購入は検討しませんでした。 今では考えられないかもしれませんが、当時の私はパソコン環境のカスタマイズというものに全く興味がありませんでした。ブラウザは[[Internet Explorer]]を使っていましたし、キーボードはおろか、マウスもよくあるモノを何の疑問もなく使っていました。リマップなんて以ての外です。 ### 社会人になって数年 無事に就職も決まってIT系の会社で働くことになりましたが、会社で使われていたパソコンはすべて[[Windows]]でした。[[Microsoft Office]]が必須の時代だったので当然でしょう。 しかし、2013年頃から少し風向きが変わりました。社内でもデキるエンジニアは[[MacBook]]を使い始めるようになりました。[[macOS]]のターミナルと[[Sublime Text]]を携えてカタカタしている先輩の姿が格好良く思えたものです。 ただ、このときも[[MacBook]]への移行は検討しませんでした。私は[[👤ふろむだ]]さんの[[思考の速度でパソコンを使う技術]]に感銘を受け、それを実現するために[[AutoHotkey]]を取り入れていたためです。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://www.furomuda.com/icon/favicon" /> <span class="link-card-v2-site-name">分裂勘違い君劇場 by ふろむだ</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> 思考の速度でパソコンを使う技術 - 分裂勘違い君劇場 by ふろむだ </div> <div class="link-card-v2-content"> 剣道の達人は剣が身体の一部になっています。 まるで、剣の先にまで神経が生えているように、剣で感じ、剣を操ります。 もはや、道具を使っているという意識はなく、剣も含めて身体意識が形成されているのです。 同じように、一流のレーサ ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://cdn.image.st-hatena.com/image/scale/4864a278c2d4b23529d42b34158f1d926782f168/backend=imagemagick;version=1;width=1300/http%3A%2F%2Ffromdusktildawn.sub.jp%2Fbodify%2Fmove_combi_system.png" /> <a href="https://www.furomuda.com/entry/20070212/1171244226"></a> </div> この記事は私のエンジニア生活を劇的に変えるものでしたが、同時に[[Windows]]に対する最大の枷にもなっていました。少なくとも当時は[[macOS]]でこれを実現するのは厳しかったと認識しております。 ### 2015年から2020年頃 この頃には[[Docker]]や[[Vagrant]]といった仮想環境で開発/動作確認することが主流になっていました。ターミナル環境や[[Linux]]との親和性では[[macOS]]に分がありましたが、コンテナや[[VM]]を使えば[[Windows]]でも開発は可能でした。ただし、[[Docker]]や[[Vagrant]]を使いこなす必要はありました。 そして、その後に[[VSCode]]が登場しました。[[AI]]が主流となっている現代では、頭一つ飛び抜けて覇権を取ったと言えるあの[[VSCode]]です。[[Microsoft]]が開発しているだけあって、[[VSCode]]は[[Windows]]、[[macOS]]、そして[[Linux]]でも上手く機能してくれました。 2014年に[[👤Satya Nadella]]氏が[[CEO]]になったこともあり、この時期の[[Microsoft]]は勢いが半端なかったと思います。[[Windows 10]]、[[WSL]]、[[TypeScript]]、[[VSCode]]、[[Azure]]などの登場は、[[Windows]]が[[macOS]]を追い上げ、追い越す勢いを感じさせました。 ### 2020年から現在 [[Windows]]にしか興味がなかった私もこのニュースは非常に鮮明に覚えていました。[[Apple]]がM1を発表したのです。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://www.apple.com/favicon.ico" /> <span class="link-card-v2-site-name">Apple Newsroom (日本)</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> Apple、M1チップを発表 </div> <div class="link-card-v2-content"> Appleは本日、Macのために設計された初めてのシステムオンチップ(SoC)であるM1を搭載し、これまでで最も大きく進化したMacを発表しました。 ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://www.apple.com/newsroom/images/product/mac/standard/Apple_new-M1-chip_11102020.jpg.og.jpg?202505090055" /> <a href="https://www.apple.com/jp/newsroom/2020/11/apple-unleashes-m1/"></a> </div> 『新しいアーキテクチャを出すなんて、なんて無謀な... 互換性の問題で仕事には使いにくいのでは...』 当時はそんな風に思いつつも、[[MacBook]]を使っていた周りのエンジニアが **その圧倒的性能と静音性、バッテリーの持ち** に狂喜乱舞していたことは今も記憶に新しいです。 もし[[Appleシリコン]]が登場していなければ、私は今も[[Windows]]を使い続けていたでしょう。ここ2年ほどはほぼ[[Neovim]]で事足りており、[[Windows Terminal]]と[[WSL]]があればソフトウェア面で困ることはなかったからです。 ## なぜmacOSへの移行を決意したのか? そんな私ですが、[[macOS]]へ移行を決意したのはいくつかの偶然が重なったからです。 ### 会社のWindowsパソコンが色々限界だった 2年以上使っていたのもありますが、以下のような問題があり業務に支障が出ていました。 - 出勤後、15分くらいでファンがずっとなり続け、本体はアチアチ状態が続く - 午後には[[Slack]]の文字入力で数秒のラグが生じるくらい遅くなる - 30分以上電源OFF or Sleepさせないと回復しない - 回復後も15分くらいでまた調子が悪くなる - バッテリーが2時間ちょっとしかもたない [[MacBook Pro]]を使っている人に話を聞くと、『そんなことはありませんねぇ...』と言われますし、電池の持ちと静音性は言わずもがなでした。 > [!note] > 家のPC([[New Precision 5470]])は重くなることは一切ありませんでしたが、ファンの音や本体の温度は会社ほどではなくても気になっていました。バッテリーも2~3時間程度でした。 ### この先Windowsマシンには期待ができなそうだった [[Windows]]は最近[[AI]]推しで色々と施策を打っていますが、正直な感想を言うと、不要な情報が画面上にあふれて気が散るだけでした。しかも重い。 [[Appleシリコン]]のようにすべてを1社で制作するような体制でなければ、[[Microsoft]]は戦える[[Windows]]マシンを今後出すことはできないだろうと見切りをつけました。 ### 一緒に仕事をするエンジニアが皆Macだった 特段の理由がなければ、同じ環境の方がチームワークは向上するものです。周囲のエンジニアは[[MacBook Pro]]を使っていることもあり、私も[[MacBook Pro]]にしたほうがいいだろうと常々思っていました。『Windowsの場合は○○なんですが...』という相互翻訳も不要になります。 > [!note] > [[WSL]]で[[Zsh]]を使っていたのでシェルに関する問題はありませんでした。流石に[[cmd]]や[[PowerShell]]は使えませんね...。 ### 興味のあるターミナルがMacしか対応していなかった [[Ghostty]]や[[kitty]]、[[WezTerm]]といった[[ターミナル]]は[[kitty (プロトコル)|kitty]]プロトコルの画像表示に対応しています。特に[[Ghostty]]と[[kitty]]はインライン画像表示にも対応しており、[[Obsidian]]顔負けの[[Markdown]]表現を有していました。 ![[20250511_23_36_05.webp|frame]] *こんな感じにNeovim上で画像が...!!* [[Ghostty]]や[[kitty]]は[[Windows]]をサポートしていません。[[WezTerm]]はサポートこそしていますが、[[Windows]]では画像を表示できませんでした。 ### Obsidianで全文検索が使い物にならなかった [[Windows]]では初回のFileIOが著しく遅いため、10000ファイル以上ある[[Minerva]]の[[Vault]]では初回の全文検索に1分近くかかるという問題がありました。[[WSL]]にファイルを配置して、[[WSL]]にインストールした[[Obsidian]]を使えば速度は改善されますが、そもそも[[WSL]]の[[GUI]]機能はかなり不安定です。やむを得ない状況以外では利用したくありません。 [[macOS]]で[[Obsidian]]を使っている人からはそのような声がなく、実際に実行してみたら2秒程度で結果が表示されました。 ### MacでのPlaywright実行速度が爆速だった 前から気づいていたことではありますが、Webの[[E2Eテスト]]フレームワークである[[Playwright]]の実行速度は[[macOS]]の方が2倍以上高速です。 [[Windows]]でも[[Playwright]]は動きますが、なぜか非常に遅いです。[[WSL]]内のブラウザは[[Windows]]よりも少し速いですが、ブラウザの起動に時間がかかるため全体ではかなり遅くなります。あわせてマシンも重いので...。 ### 仕事でAI導入によるエディタ移行が進んでいた 職場では[[GitHub Copilot]]を導入するため[[VSCode]]への移行が進んでいました。 というより私は主導する側でした。[[VSCode]]以外の選択肢もありますが、[[GitHub Copilot]]との相性や安定性という意味では[[VSCode]]には勝てません。拘りがなければ、[[VSCode]]への移行を推奨していました。(私は今も[[Neovim]]をメインで使っていますが...) もちろん[[VSCode]]を[[WSL]]ごしに使うより、[[macOS]]でそのまま使った方が高速で効率がよいというのもあります... が、ここでのポイントは **慣れ親しんだエディタの移行を率先する立場であること** になります。 ``` 『他人には移行を強要するのに、自分はWindowsにいつまでも甘んじてていいのだろうか...』 ``` とまあこんな風に。 ### ちょうどGW前であり新規プロダクト開発前だった 極め付きがタイミングです。ちょうどGWの4連休に入る前だったのです。 - GWの予定もなかったので時間が使えた - 休暇をとる人も多く、普段やらないことに時間を使えた - GW明けからは本格的に新規プロダクトの開発がはじまることが決まっていた - つまり環境整備は今が最後のチャンス ついでにいうと、[[#MacでのPlaywright実行速度が爆速だった]]のを同僚に見せられたのがその前日。AI導入によるエディタ移行の開始がGW明け。という風にいくつもキッカケが重なっていました。 ## AutoHotkeyの楔をどう乗り越えたか? 『もう移行するしかないだろ...!!』という想いを前に、最後にして最大の楔が立ちはだかります。[[AutoHotkey]]です。 ### AutoHotkey依存症 私の[[AutoHotkey]]依存度は、[[AutoHotkey]]のページ内と[[バックリンク]]をご覧いただければ分かると思います。 > [[Windows]]でのみ動く最強のキーハックツール。[[Minerva]]の管理人である[[📕tadashi-aikawa]]が[[Windows]]を使う唯一にして最大の理由である。 > *[AutoHotkey - Minerva](https://minerva.mamansoft.net/Notes/AutoHotkey)* こんな[[📒Articles]]も書きました。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> 📘AutoHotkeyが織りなすNeovimの魅力 </div> <div class="link-card-v2-content">Windows環境でNeovimやVimキーバインドを快適に使うためのAutoHotkey活用術を解説。記号入力や行移動、割り当て困難なキー操作の効率化など、エディタ操作を劇的に改善する具体的な設定例を紹介しています。NeovimやVSCode、IntelliJユーザーにもおすすめです。</div> <img class="link-card-v2-image" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/%F0%9F%93%98Articles/attachments/2024-07-17.webp" /> <a data-href="📘AutoHotkeyが織りなすNeovimの魅力" class="internal-link"></a> </div> %%[[📘AutoHotkeyが織りなすNeovimの魅力]]%% 自分が使う設定は[[🦉Spinal reflex bindings template]]というスクリプト郡のリポジトリを作成して10年近く育て上げてきました。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> GitHub - tadashi-aikawa/spinal-reflex-bindings-template: This repository is the Autohotkey KeyCustomized Project which is applicable to only mine. </div> <div class="link-card-v2-content"> This repository is the Autohotkey KeyCustomized Project which is applicable to only mine. - tadashi-aikawa/spin ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://opengraph.githubassets.com/14a20bf1141ec5459a1bf11c9c794729ba4677ec9deb61dd0383587bd4bf4cc6/tadashi-aikawa/spinal-reflex-bindings-template" /> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/spinal-reflex-bindings-template"></a> </div> 数年ごとに[[macOS]]でも同じようなことができないかを調べてきましたが、いつも結果は同じでした。 ### 無心でポチる 考えるとまたいつものように心のブレーキを踏んでしまいます。そう思った私は先にポチってから考えることにしました。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://www.apple.com/favicon.ico" /> <span class="link-card-v2-site-name">Apple（日本）</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> MacBook Proを購入 </div> <div class="link-card-v2-content"> MacBook Proノートブックが、M4チップファミリーを搭載。Apple Intelligenceのために設計されました。対象のMacを下取りに出すと、割引価格で購入できます。 ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://store.storeimages.cdn-apple.com/1/as-images.apple.com/is/macbook-pro-og-202410?wid=1200&hei=630&fmt=jpeg&qlt=95&.v=1728658184478" /> <a href="https://www.apple.com/jp/shop/buy-mac/macbook-pro"></a> </div> 幸い、5/3の午前中に配達予定となっていたのでタイミングもバッチリでした。これが1週間後であったなら、また言い訳をして[[Windows]]に戻っていたかもしれません。 ### 退路を断つ ``` 『これだけではまだ甘い... 気が変わってキャンセルをしてしまうかもしれない...』 ``` そう思った私は、会社のPCを[[Windows]]から[[MacBook Pro]]にリプレースする申請を出しました。これでもう後戻りはできません。GWが明けるまでに[[MacBook Pro M4 Pro]]を使いこなせるようになっていなければ、仕事にも大きな支障をきたすことになってしまいます。 > [!note] > これだけだと[[AutoHotkey]]を気合で断念したように思えますが、実際には[[Karabiner-Elements]]などを使って同等の環境を構築することに成功しました。それは後ほど。 ## MacBook Pro & macOSへの移行 [[MacBook Pro M4 Pro]]が到着しました。 ![[macbook-pro-m4.webp|frame]] 移行作業のダイジェストは以下のレポートに記録しました。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> 📰WindowsからmacOSへ移行した記録 </div> <div class="link-card-v2-content">WindowsからmacOSへの移行手順を解説。Google ChromeやHomebrew、Vimium、Karabiner-Elements、Raycast、Rectangle、Google日本語入力などのインストール・設定方法をまとめている。</div> <img class="link-card-v2-image" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/Notes/attachments/report.webp" /> <a data-href="📰WindowsからmacOSへ移行した記録" class="internal-link"></a> </div> %%[[📰WindowsからmacOSへ移行した記録]]%% その中でも印象深かったトピックをいくつか紹介します。[[mise]]や[[Neovim]]など、[[Windows]]から比較的容易に移行できるものは割愛します。 ### karabiner.tsでAutoHotkey環境をほぼ完全再現 最大の懸念となっていた[[AutoHotkey]]については、[[Karabiner-Elements]]で対応することにしました。キーのリマップで主に利用される常駐型ツールです。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://karabiner-elements.pqrs.org/favicons/favicon-16x16.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Karabiner-Elements</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> Karabiner-Elements </div> <div class="link-card-v2-content"> Karabiner-Elements A powerful and stable keyboard customizer for macOS. Download v15.3.0 Toggle Dropdown Downloa ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://karabiner-elements.pqrs.org/images/logo.png" /> <a href="https://karabiner-elements.pqrs.org/"></a> </div> 機能としては十分そうでしたが、1つだけ問題がありました。[[Karabiner-Elements]]は[[JSON]]ファイルで設定を記述するため、[[🦉Spinal reflex bindings template]]のように複雑な環境を再現するには可読性の低下や設定ファイルが肥大してしまうリスクがあったのです。 この問題を解決するため、[[TypeScript]]で設定を記述し、[[Karabiner-Elements]]の[[JSON]]ファイルにビルドできる[[karabiner.ts]]を導入しました。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> GitHub - evan-liu/karabiner.ts: Write Karabiner-Elements configuration in TypeScript </div> <div class="link-card-v2-content"> Write Karabiner-Elements configuration in TypeScript - evan-liu/karabiner.ts </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://opengraph.githubassets.com/f14cbc5a8ff4213be23a06f8e2f2661e702e19f5028e4e544fb094e7800855f7/evan-liu/karabiner.ts" /> <a href="https://github.com/evan-liu/karabiner.ts"></a> </div> [[karabiner.ts]]により、567行の[[TypeScript]]コードで9253行相当の[[JSON]]設定を記述できました。import文などを含んでいるため、実質的なコード量はさらに短いです。たとえば、`RANGE`モードのキーマップ設定 `modes/range.ts` は以下のようになります。 ```ts import { layer, toKey, withModifier, } from "https://deno.land/x/[email protected]/deno.ts"; import { toJKey, toJKeyWith, UJM, UNUSED_KEY } from "../utils/keys.ts"; import { withinTerminal, withoutTerminal } from "../apps/apps.ts"; import { changeMode, terminateMode } from "./modes.ts"; const likeCtrlCommands = [ { h: toJKeyWith("<-", "shift", 5), j: toJKeyWith("down", "shift", 5), k: toJKeyWith("up", "shift", 5), l: toJKeyWith("->", "shift", 5), }, ]; export const rangeModeDefinitions = layer(UNUSED_KEY, "RANGE") .leaderMode({ sticky: true, }) .manipulators([ ...withinTerminal([ withModifier("control")(likeCtrlCommands), ]), withoutTerminal([ withModifier("command")(likeCtrlCommands), ]), withModifier("shift")({ h: toJKeyWith("<-", "shift", 25), j: toJKeyWith("down", "shift", 25), k: toJKeyWith("up", "shift", 25), l: toJKeyWith("->", "shift", 25), f: toJKeyWith("down", ["command", "shift"]), }), { ";": toJKeyWith("->", ["control", "shift"]), [UJM.ESC]: [...terminateMode("RANGE"), toKey("japanese_eisuu")], [UJM.半全]: [...terminateMode("RANGE"), toKey("japanese_eisuu")], a: toJKeyWith("<-", ["control", "shift"]), b: toJKeyWith("<-", ["option", "shift"]), c: [...changeMode("RANGE", "NORMAL"), toKey("c", "command")], d: [...changeMode("RANGE", "NORMAL"), toJKey("bs")], f: toJKeyWith("up", ["command", "shift"]), g: changeMode("RANGE", "NORMAL"), h: toJKeyWith("<-", "shift"), j: toJKeyWith("down", "shift"), k: toJKeyWith("up", "shift"), l: toJKeyWith("->", "shift"), o: [...changeMode("RANGE", "NORMAL"), toJKey("del")], u: [...changeMode("RANGE", "NORMAL"), toJKey("bs")], w: toJKeyWith("->", ["option", "shift"]), x: [...changeMode("RANGE", "NORMAL"), toKey("x", "command")], }, ]); ``` アプリ制御、モード制御、JIS配列などのユーティリティは独自に定義しています。エントリポイントとなっている `index.ts` は以下のとおりです。 ```ts import { map, rule, toKey, withModifier, writeToProfile, } from "https://deno.land/x/[email protected]/deno.ts"; import { normalModeDefinitions } from "./modes/normal.ts"; import { rangeModeDefinitions } from "./modes/range.ts"; import { specialModeDefinitions } from "./modes/special.ts"; import { withinTerminal, withoutTerminal } from "./apps/apps.ts"; import { commandJLeaderDefinitions } from "./leaders/commandJ.ts"; import { semicolonLeaderDefinitions } from "./leaders/semicolon.ts"; import { defaultRule } from "./modes/default.ts"; import { UJM } from "./utils/keys.ts"; /** * 基本的に先に定義した方が採用されるので注意 * 条件付きやmodeの設定は先に記載すること */ writeToProfile("Default profile", [ // Most prioritize rule("switch control <-> command").manipulators([ // ターミナルだけはleft_controlがleft_commandのように振る舞うためマッピングを分岐させる必要がある ...withinTerminal([ withModifier("command")({ q: toKey("f13", "option"), // raycast起動用 r: toKey("f14", "command"), // raycast clipboard起動用 [UJM["/"]]: toKey("f15", "command"), // raycast emoji起動用 }), withModifier("control")({ q: toKey("q", "command"), }), ]), withoutTerminal([ map("left_control").to("left_command"), map("left_command").to("left_control"), map("left_control", "shift").to("left_command", "shift"), map("left_command", "shift").to("left_control", "shift"), withModifier("control")({ q: toKey("f13", "option"), // raycast起動用 r: toKey("f14", "command"), // raycast clipboard起動用 [UJM["/"]]: toKey("f15", "command"), // raycast emoji起動用 }), ]), ]), // Modes normalModeDefinitions, rangeModeDefinitions, specialModeDefinitions, // Leaders ...semicolonLeaderDefinitions, ...commandJLeaderDefinitions, defaultRule, ]); ``` [[ターミナル]]かそれ以外のアプリケーションかで、`a` の左隣に割り当てているキーが変わるため、そこだけ特殊なキーマップの切り替えをしています。 [[karabiner.ts]]を使ったプロジェクトルートは以下を御覧ください。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> toki/karabiner at main · tadashi-aikawa/toki </div> <div class="link-card-v2-content"> macOSのセットアップ/カスタマイズプロジェクト 誓いの時は来た！ 今 わたしは あなた(Windows)を超える！！ - tadashi-aikawa/toki ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://repository-images.githubusercontent.com/977129105/89cc86a4-ebae-4927-8d0e-a1707375fb45" /> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/toki/tree/main/karabiner"></a> </div> [[AutoHotkey]]と比べたメリットとして以下3点があります。 - [[TypeScript]]のためコードが書きやすい - 設定の可読性が上がった - [[AutoHotkeyの押しっぱなし問題]]に悩まされなくなった 特に3つ目の[[AutoHotkeyの押しっぱなし問題]]は長年の課題でしたが、[[macOS]]移行で解決できたのは幸運でした。 ### Raycastでシームレスな画像/動画の圧縮を実現 [[Windows]]のときは静止画と動画の撮影に[[Screenpresso]]を使っていました。画像や動画の圧縮機能も兼ね備えており、[[Windows]]ユーザーには非常にオススメできるツールです。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://www.screenpresso.com/favicon.ico" /> <span class="link-card-v2-site-name">www.screenpresso.com</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> Screenpresso：Windows用の究極のスクリーンキャプチャツール </div> <div class="link-card-v2-content"> コンピューターの画面に表示されているものの画像またはビデオを取得し（画面キャプチャー）、注釈を付けて、誰とでも共有します。 ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://www.screenpresso.com/screenpresso-logo.png" /> <a href="https://www.screenpresso.com/ja/"></a> </div> [[Screenpresso]]は[[macOS]]に対応していないので、いくつかのツールを組み合わせることにしました。 | 対象 | 用途 | ツール | 備考 | | --- | ----- | -------------------- | ------------------- | | 画像 | 撮影 | [[Shottr]] | クリップボードに保存 | | 画像 | サイズ削減 | [[ImageMagick]] | [[PNG]] -> [[WebP]] | | 動画 | 撮影 | [[QuickTime Player]] | 特定ディレクトリに保存 | | 動画 | サイズ削減 | [[ffmpeg]] | [[MOV]] -> [[MP4]] | サイズ削減のコマンドは[[toki]]に `toki webp` と `toki mp4` コマンドを実装しました。処理は以下の通りです。 ```bash #========================================================================== # toki webp: 入力ファイル/クリップボード画像(png)をwebpに変換します if [[ $command == "webp" ]]; then ts=$(date +"%Y%m%d_%H_%M_%S") dst_dir="$WEBP_SCREEN_SHOT_DIR" dst="${dst_dir}/${ts}.webp" if [ -n "${1-}" ]; then magick "${1}" "$dst" else pngpaste - | magick - "$dst" fi echo "Created ${dst}" exit 0 fi #========================================================================== # toki mp4: MOV保存場所の最新動画ファイルをmp4に変換します if [[ $command == "mp4" ]]; then ts=$(date +"%Y%m%d_%H_%M_%S") dst_dir="$MP4_DIR" dst="${dst_dir}/${ts}.mp4" # shellcheck disable=SC2012 input=$MOV_DIR/$(ls -t "$MOV_DIR" | head -1) ffmpeg -i "$input" "$dst" echo "Created ${dst}" exit 0 fi ``` これを[[Raycast]]のコマンドに登録し、どこからでも瞬時に呼び出せるようにしました。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> toki/raycast at main · tadashi-aikawa/toki </div> <div class="link-card-v2-content"> macOSのセットアップ/カスタマイズプロジェクト 誓いの時は来た！ 今 わたしは あなた(Windows)を超える！！ - tadashi-aikawa/toki ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://repository-images.githubusercontent.com/977129105/89cc86a4-ebae-4927-8d0e-a1707375fb45" /> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/toki/tree/main/raycast"></a> </div> 以上から、以下のフローで画像や動画を簡単に撮影、圧縮、利用できるようになりました。 1. 画像 or 動画 を撮影する 2. [[Raycast]]からコマンドを実行する 3. 特定ディレクトリ配下に保存された画像や動画を利用する ![[20250514_13_32_51.webp|frame]] *Raycastに追加した変換コマンド* ![[20250514_13_33_18.webp|frame]] *作成したファイルもRaycastから瞬時にD&Dで挿入できる* ### LinearMouseでHHKB StudioとSlimBladeのスクロール調整 [[Windows]]では直感的だった[[HHKB Studio]]と[[SlimBlade Pro Trackball]]のスクロールが、[[macOS]]では扱いにくい問題がありました。 - 加速度のせいで **少しスクロールするのが難しい** - 加速度のせいで **一定速度でスクロールするのが難しい** [[SlimBlade Pro Trackball]]は調整でなんとか妥協できるレベルまで落とし込めましたが、[[HHKB Studio]]は[[ポインティングスティック]]のスクロール速度単体の調整ができないため、かなり絶望的でした。 これらの問題を解消してくれたのが[[LinearMouse]]です。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://linearmouse.app/favicon-32x32.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">linearmouse.app</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> LinearMouse | Mac向けのマウスとトラックパッドユーティリティ。 </div> <div class="link-card-v2-content"> マウスとトラックパッドのスクロール方向、ポインタ加速度、ポインタ速度等をカスタマイズ。 </div> <a href="https://linearmouse.app/ja-JP/"></a> </div> [[LinearMouse]]でスクロールの加速度を無効化することにより、直感的にスクロールできるようになりました。この設定はデバイスごとに割り当てられるため、標準のトラックパッドには影響ありません。 ![[20250514_17_46_04.webp|frame]] *HHKB Studioの設定。スクロールモードと距離がポイント* ![[20250514_17_43_52.webp|frame]] *SlimBlade Pro Trackballの設定。距離がHHKB Studioと異なる* スクロールモードを **`行`** にするのが最大のポイントです。[[macOS]]のスクロールに馴染まない場合はぜひお試しいただければと思います。 ### 画像に完全対応したGhosttyのターミナル環境 ターミナルを念願の[[Ghostty]]にしました。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://ghostty.org/favicon-32.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Ghostty</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> Ghostty </div> <div class="link-card-v2-content"> Ghostty is a fast, feature-rich, and cross-platform terminal emulator that uses platform-native UI and GPU accel ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://ghostty.org/social-share-card.jpg" /> <a href="https://ghostty.org/"></a> </div> [[Ghostty]]にした理由は以下の[[ADR]]をご覧ください。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> 💿PRO-0004 macOSのターミナルにはGhosttyを使う </div> <div class="link-card-v2-content">WezTermは画像が、kittyはフォントが弱いというデメリットがあり、WezTermやkittyならではの機能はメリットにならない。また、Ghosttyはv1.0がリリースされたばかりであり、今不足している機能も実装が進んでいることから将来性もある。時が問題を解決してくれそう。</div> <img class="link-card-v2-image" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/Notes/attachments/pro-adr2.webp" /> <a data-href="💿PRO-0004 macOSのターミナルにはGhosttyを使う" class="internal-link"></a> </div> %%[[💿PRO-0004 macOSのターミナルにはGhosttyを使う]]%% ### プロンプトでの画像表示 [[snacks.dashboard]]でも利用しているため、コマンドでの画像表示には[[chafa]]を使っています。 ![[20250515_06_09_55.webp]] ### Neovimでの画像表示 [[Neovim]]での画像表示について、[[snacks.picker]]を使っていれば画像のプレビューが表示されます。 ![[20250515_06_16_04.webp]] ファイルを開いても文字化けしたバイナリではなく画像が表示されます。 ![[20250515_06_17_17.webp]] > [!caution] > 私の環境だと、画像表示は少し不安定でした。画像がオリジナルのサイズで表示される場合、画像が縮小されたサイズで表示される場合、画像が表示されない場合、など開くたびに変わってしまいます。([[Neovim]]再起動で大体なおる) ドキュメントでの画像表示は[[snacks.image]]を使っています。設定は試行錯誤した結果、以下に落ち着きました。 ```lua opts = { image = { doc = { max_width = 20, max_height = 10, }, }, } ``` 画像の最大サイズを抑えているため、[[Neovim]]上で文字やディテールを読み取ることは不可能ですが、**どの画像を使っているか** はギリギリ判別できます。 ![[20250515_06_41_32.webp|frame]] *画像のドキュメントインラインプレビュー* 画像サイズを上げると見栄えは良くなります。一方で、画像サイズによっては画面の大半を占めてしまい編集がしにくくなったり、サイズの小さい画像でも無駄に領域を使ってしまうというデメリットがありました。 ![[20250515_06_47_42.webp|frame]] *デフォルトの設定。見栄えはかなり良い* ![[20250515_06_49_56.webp|frame]] *一方で無駄に領域をとってしまうことも...* 画像サイズは元画像次第なので制御できません。[[HTML]]や[[CSS]]で画像のインライン表示を無効化できなければ厳しそうです。とはいえ、[[Neovim]]で[[Markdown]]の画像をじっくり見る機会は少ないので、[[HTML]]や[[CSS]]の画像は小さいほうが実用的です。必要なら画像を開いたり、[[Markdown Preview for (Neo)vim]]でプレビューすればいいわけです。**[[Neovim]]の編集体験を重視する**方向性で問題ないかなと。 ## まとめ 33年の[[Windows]]生活と、そこから『なぜ』『どのようにして』[[macOS]]へ移行したかを紹介しました。 [[#MacBook Pro & macOSへの移行]] で紹介したソフトウェア面だけでなく、ハードウェア面も期待以上の満足感です。**4時間MTGをしてもバッテリー8%しか減っていません**でした。今のところファンの音を聞いたことはおろか、本体が温かくなることすらレアケースです。 ソフトウェア面での掘り下げた話は、また機会があればご紹介できればと思います。 ## エピローグ **『33年間... 12000日以上使っていたものを... たったの4日間でリプレイスするなんて無茶だよ...』** 当初はそう思っていましたが...。 ![[20250515_07_27_39.webp|frame]] *[北斗の拳 １３巻]より* ![[20250515_07_28_23.webp|frame]] *[北斗の拳 １３巻]より* ![[20250515_07_28_57.webp|frame]] *[北斗の拳 １３巻]より* 人間死ぬ気でやればなんとかなるものです。(精神的にはかなり負担大きいのでオススメはできませんが) [北斗の拳 １３巻]: https://www.amazon.co.jp/%E5%8C%97%E6%96%97%E3%81%AE%E6%8B%B3-%EF%BC%91%EF%BC%93%E5%B7%BB-%E6%AD%A6%E8%AB%96%E5%B0%8A-ebook/dp/B00YV3ZZLQ