[[📒Articles]] > [[📒2025 Articles]] ![[2025-01-19.webp|cover-picture]] [[Obsidian]]で[[🦉Another Quick Switcher]]プラグインを使用し、約10000のファイルから目的の情報([[ノート]])を瞬時に検索できるようにするため、普段どのような戦略で[[Vault]]を構築しているかについてご紹介します。なお、[[Vault]]に含まれる98%のノートは[[Minerva]]で公開されているものです。 # はじめに [[OpenAI]]が開発する[[ChatGPT]]において、[[GPT-3.5]]の誕生が世間を驚かせたのは2022年11月頃のことです。あれから2年以上の歳月が経ちましたが、今もまだ...AIによるトレンドの独占状態は収まる気配がありません。そんな昨今、このようなセリフをしばしば聞くのではないでしょうか? ``` 『情報を残しておきさえすれば、あとはAIに聞けば欲しい情報が瞬時に手に入るんだ!』 ``` 分かります。時代の流れはそちらに向かっていくでしょうし、この進化スピードであれば遠くない未来にそれが実現するところまで来ているでしょう。事実、インターネットで公開された情報網であれば、既にそのフェーズに到達しているとも言えます。 一方で、AIの回答には無視できないレベルの[[ハルシネーション]]が観測されます。巧妙に作成された[[ハルシネーション]]を見破るには高度な専門知識が必要であり、場合によっては初めから自分で検索した方が速いこともあります。ましてや、自分自身で構築した情報網([[PKM]])であるVaultなら、なおのことでしょう。1憶を超える人たちの集合知であるインターネットの情報とは意味合いが異なります。 そこで本記事では、[[Obsidian]]暦4年の経験から導き出した **『AIを使わずに、[[ノート]]が増えても必要な情報を瞬時に見つけるための戦略と手段』** についてご紹介します。大きく2つのパートに分けて触れていきます。 1. [[#記録の章]] 2. [[#検索の章]] ### 執筆時の環境 | 対象 | バージョン | | ------------------------------ | ---------- | | [[Obsidian]] | v1.7.7 | | [[🦉Another Quick Switcher]] | v12.2.0 | # 記録の章 本章では[[ノート]]の書き方、すなわち情報の記録について話をします。後に[[#検索の章]]で検索できるようにすることを意識しつつ話を展開していきます。 > [!attention] > 本記事における『[[ノート]]』とは[[マークダウンファイル]]のことを指します。 ## 検索の最小単位はノートにする [[Obsidian]]では[[ヘッダ (Obsidian)|ヘッダ]]や[[ブロック (Obsidian)|ブロック]]という単位でもリンクや情報を管理できますが、それらは利用しません。[[ノート]]を検索の最小単位とします。たとえば、[[📒Another Quick Switcherのコマンド]]であれば、コマンドごとに[[ノート]]を作成します。 ![[Pasted image 20250112203713.png|frame]] *『📒Another Quick Switcherのコマンド』ノートの中身* これには『**ノートより細かい単位の情報構成** を気にしなくてよい』というメリットがあります。『[[ノート]]、[[ヘッダ (Obsidian)|ヘッダ]]、[[ブロック (Obsidian)|ブロック]]のどれを使おうか...』という迷いもなくなります。 [[ノート]]のタイトルは検索条件として重要な情報です。そのため、アプリストアの[[SEO]]対策みたく、タイトルに検索でひっかけたい用語を追加してしまうかもしれません。そうではなく、**検索のことを意識せずに**適したタイトルをつけましょう。その方が検索結果も見やすく、文中への挿入も自然になります。 | 適切な名称 | 不適切な名称 | | ---------------- | ------------------------------------- | | Obsidian Publish | Obsidian Publish - サイトをホストするサービス - 有料 | | Obsidianをインストール | Obsidianをインストール(install) | > [!question]- Minervaで見られる冗長なノート名は? > [[Minerva]]には `未解決リンク (Obsidian)` ([[未解決リンク (Obsidian)|リンク]]) のように、検索のことを意識してそうな[[ノート]]が存在しますが、このケースは問題ありません。`未解決リンク` のように、複数のコンテキストで意味を持つ用語は、コンテキストを特定するための手段が必要です。その役割を[[ノート]]のタイトルに委ねているだけです。 > > > [[💿MIN-0021 異なるコンテキストで同じ名前のノートはsuffixをつける]] ## aliasesプロパティを設定する 最小構成は[[ノート]]であると言いましたが、2つだけ[[プロパティ (Obsidian)|プロパティ]]を使用します。1つ目が`aliases`プロパティです。[[ノート]]に[[エイリアス (Obsidian)|エイリアス]]を作成したい場合に利用します。 ![[Pasted image 20250112233636.png|frame]] *赤枠が `aliases` プロパティ* [[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]を設定する目的は **ある用語の異なる表現や揺らぎを検索で拾うこと** です。代表的な例としては、日本語/英語の表現です。ノート名が『エイリアス』というだけでは `alias` や `aliases` で検索してもヒットはしません。しかし、[[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]に `aliases` と設定することで、`alias` や `aliases` といったワードにもヒットするようになります。 また、[[Obsidian Publish]]で管理しているサイトならば、[[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]を指定すると サイドバーのサイト検索でもヒットします。 > [!attention]- aliasesプロパティにSEO対策文言や説明を記入しないで > オートコンプリート機能が使いにくくなります。他に検索でヒットさせたいワードがある場合は、このあと紹介する[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]を使ってください。 > [!question]- 日本語/英語をエイリアスで表現するなら ほぼ全てのノートに必要では? > 完璧にやるならそうなります。それでは手間がかかりすぎるので、[[Minerva]]では基本的に **日本語を優先する** ようなルールを設けています。検索時に『迷ったら日本語で検索する』というフローを定着させれば、英語の[[エイリアス (Obsidian)|エイリアス]]は不要ですし、英語で検索すべきか迷う機会も減ります。 > > 一部、例外ケースもありますが、それはこのあとご紹介します。 ## descriptionプロパティを設定する 2つ目の[[プロパティ (Obsidian)|プロパティ]]は[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]です。[[ノート]]の概要を示すために使用します。 ![[Pasted image 20250112205226.png|frame]] *赤枠が `description`プロパティ* [[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]を設定する最大の目的は **検索のヒット対象にすること** です。詳細は[[#検索の章]]でお話しします。 それ以外にも[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]にはいくつかのメリットがあります。 まず、[[Obsidian Publish]]で管理しているサイトならば、[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]を指定することで、そのページの[[OGP]] descriptionや[[meta description]]として登録されます。つまり、検索結果に表示されたり、[[ソーシャルカード]]に表示されたりします。(以下が実物) <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-32.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> descriptionプロパティ (Obsidian) - Minerva </div> <div class="link-card-v2-content"> descriptionという名前のプロパティ。OGPによって使われるdescriptionを設定できる。 </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://ogimage.obsidian.md/og-image.png?title=description%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%91%E3%83%86%E3%82%A3+%28Obsidian%29&description=description%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E5%90%8D%E5%89%8D%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%91%E3%83%86%E3%82%A3%E3%80%82OGP%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%BF%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8Bdescription%E3%82%92%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%80%82&logoUrl=https%3A%2F%2Fpublish-01.obsidian.md%2Faccess%2F35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88%2Ffavicon-196.png&siteName=Minerva" /> <a href="https://minerva.mamansoft.net/Notes/description%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%91%E3%83%86%E3%82%A3%20(Obsidian)"></a> </div> また、[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]に[[ノート]]の要約が記載されていると、[[ノート]]参照時に理解するまでの時間が早まるでしょう。それだけでなく、自分の言葉を使って短い文字数で要約を記載することにより、自分の中での理解も深まります。 > [!hint]- 質問文のようなタイトルのノートにdescriptionは何を設定すべきか? > [[ノート]]のタイトルが質問文である場合、[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]には以下のような内容をオススメします。 > > - 事象の詳細.. 特にエラーメッセージ > - ↑が不要な場合は原因の要約 > > 事象の詳細についてはエラーメッセージで検索にヒットした方が便利だからです。タイトルは文字数に限りがありますし、特殊文字が使用できないという欠点があります。 > > それらが不要な場合は『原因』の要約を記載しましょう。問題と原因が一目で分かると理解が速いですし、原因によってどのような問題が発生するかを検索する余地も残せます。 ## タグは使わない [[タグ (Obsidian)|タグ]]は使いません。検索にヒットさせたり、検索結果の情報量を増やす目的であれば、先ほどの[[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]と[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]で事足りているからです。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> 💿MIN-0038 分類や検索マッチの用途ではタグではなくdescriptionプロパティを使う </div> <div class="link-card-v2-content">descriptionプロパティだけで必要な要件をすべて満たせていることに加え、tagsプロパティの付与や内容を迷わなくて済むというメリットが大きいため。</div> <img class="link-card-v2-image" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/Notes/attachments/minerva-adr3.webp" /> <a data-href="💿MIN-0038 分類や検索マッチの用途ではタグではなくdescriptionプロパティを使う" class="internal-link"></a> </div> %%[[💿MIN-0038 分類や検索マッチの用途ではタグではなくdescriptionプロパティを使う]]%% また、同じ名称で異なるコンテキストを持つ場合は、suffixでカッコをつけるようにしています。詳細と経緯は以下の[[ノート]]をご覧ください。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" /> <span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> 📓異なるコンテキストで同名なノートの扱い </div> <div class="link-card-v2-content">Minervaのディレクトリ構成で定められたルールにより、知識ネットワークのノートはすべて`Notes`ディレクトリ配下に配置される。そのため同名のタイトルで複数のノートをつくることはできない(パスが完全に一致するから)。</div> <img class="link-card-v2-image" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/Notes/attachments/minerva-image.webp" /> <a data-href="📓異なるコンテキストで同名なノートの扱い" class="internal-link"></a> </div> %%[[📓異なるコンテキストで同名なノートの扱い]]%% ## 本章のまとめ 『記録の章』は以上です。[[ノート]]を記録する場合は以下3点を意識します。 - [[#検索の最小単位はノートにする]] - 検索において、[[ヘッダ (Obsidian)|ヘッダ]]や[[ブロック (Obsidian)|ブロック]]の構成を考える必要はない - [[#aliasesプロパティを設定する]] - 同じ[[ノート]]に対する、別の言い方や言葉の揺らぎを吸収する - [[#descriptionプロパティを設定する]] - [[ノート]]の要約を書く # 検索の章 本章では[[#記録の章]]で作成した情報をどのように検索するかについてお話します。主に[[🦉Another Quick Switcher]]を使います。 ## Another Quick Switcherとは 私が開発している[[Obsidian]]の[[コミュニティプラグイン]]です。 <div class="link-card-v2"> <div class="link-card-v2-site"> <img class="link-card-v2-site-icon" src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" /> <span class="link-card-v2-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-v2-title"> GitHub - tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher: This is an Obsidian plugin which is another choice of Quick switcher. </div> <div class="link-card-v2-content"> This is an Obsidian plugin which is another choice of Quick switcher. - tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-sw ... </div> <img class="link-card-v2-image" src="https://opengraph.githubassets.com/747da7660df769ad6d3aa75391c013a96091dab08c1eb865f43fccd75e6bd8d8/tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher" /> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher"></a> </div> [[🦉Another Quick Switcher]]は、[[Quick switcher]]にはない豊富な機能を搭載しています。 > [!info]- Another Quick Switcher の主要機能と検索ロジック > > - 機能 > - Quick Switcher内の独自コマンド > - [[バックリンク]]表示 > - 全文検索 ([[ripgrep]]使用) > - 直感的なファイル内見出し検索 > - ファイル内検索結果表示 > - Quick Switcher内でリンク/被リンクのナビゲーション > - エディタ内プレビュー > - ファイルの移動 > - Quick Switcher内のホットキー設定 > - 検索ロジック > - トークンの出現順序を考慮不要 > - `ano qui` でも `qui ano` でも `Another Quick Switcher` にヒットする > - ファジーじゃない検索 > - 高速でスコアリングフィルタ可能なファジー検索 (設定で有効にする必要あり) > - prefixの絵文字を考慮して検索 > - `anot` でも `🦉anot` でも `🦉Another` に前方一致としてヒットする 本記事では[[🦉Another Quick Switcher]]のメイン機能である **『カスタマイズした検索コマンドを使ってファイルを検索する』** にのみフォーカスします。この機能を使って、[[#記録の章]]で戦略に沿って作成した[[ノート]]を探していきます。 > [!info] > 詳細は [[📰Another Quick Switcherの紹介メディア一覧]] なども参考にしていただければと思います。 ## 検索のイメージ 以下は[[🦉Another Quick Switcher]]の `File name search` を使って `obsidian vim 設定` で検索している動画です。(File name searchはデフォルト設定を少し変更しています) ![[2025-01-19-12-25-56.mp4]] 最終的な結果に対して、クエリ文字列の部分に色をつけてみました。太字がタイトルで、その下の文章は[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]です。 ![[Pasted image 20250119123730.png]] この結果から分かるように、`obsidian` `vim` `設定` のすべてを『タイトル』または『[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]』に含む結果が表示されています。この例では分かりませんが、[[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]の値も同様に検索対象として利用されます。 ![[Pasted image 20250119124328.png|frame]] これはすなわち **『[[ノート]]のタイトル、[[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]、[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]に検索しそうなワードが含まれていれば、Another Quick Switcherで検索できる』** ことを意味します。 ## Another Quick Switcherの設定 本記事のような検索をするために必要な[[📒Another Quick Switcherの設定]]を紹介します。あくまで私の場合なので、必要に応じてカスタマイズしてください。 ### 必須の設定 #### Appearance `Display the 'description' property below the title` オプションを有効にします。 ![[Pasted image 20250119130910.png|frame]] この設定をすることで、タイトルの下に[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]が表示されるようになります。 #### Search commands `File name search` の設定を開き、以下の変更を行います。 | 設定名 | 変更内容 | | ------------------------------ | -------------------- | | Search by | `Property` を追加 | | Keys of the property to search | `description` を追加 | ![[Pasted image 20250119131209.png|frame]] この設定をすることで、[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]が検証対象になります。 ### 任意の設定 以下はお好みです。必要に応じて設定してください。 #### Appearance クエリが[[ノート]]のタイトルに一致せずエイリアスに一致したら、タイトル表示欄に[[エイリアス (Obsidian)|エイリアス]]を表示したい場合、`Display alias as title on keyword match` オプションを有効にします。 ![[Pasted image 20250119131628.png|frame]] [[#検索のイメージ]]で紹介した例では『有効』に設定していたため、[[PyPI|Python Package Index]]とタイトル表示欄に表示されていましたが、『無効』の場合は[[PyPI]]と表示されます。 #### Search commands `obsidipub` のようなワードで `Obsidian Publish` にヒットさせたい場合は `Allow fuzzy search for "Search target"` を有効にします。 ![[Pasted image 20250119132004.png|frame]] あわせて `Sort properties` の順番も変更しましょう。[[Fuzzy name match]]を2つ目に差し込むことでソート順がいい感じになります。 ![[Pasted image 20250119132034.png|frame]] > [!info] > ソート順の定義は [[Sort priorities]] もしくは [READMEの定義](https://github.com/tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher?tab=readme-ov-file#sort-priorities) をご覧ください。 ### 設定の保存 **設定をしたあとには『Save』ボタンを押す必要があります。これを忘れると、[[Obsidian]]を再起動したときに変更前の設定に戻ってしまいます。** ![[Pasted image 20250119132654.png|frame]] ### 動作の確認 [[コマンドパレット (Obsidian)|コマンドパレット]]から先ほど編集した[[Custom searches]]の`File name search`コマンドを実行しましょう。 ![[Pasted image 20250119132824.png|frame]] クエリが[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]にもヒットして候補に表示されればOKです。 ![[Pasted image 20250119133104.png|frame]] > [!hint] 筆者がよく使うコマンド > 私がよく使うコマンドは、先ほど紹介した[[File name search]]の他に、最近開いたファイルを優先して表示する[[Recent search]]があります。 [[Recent search]]にも同様に[[#Another Quick Switcherの設定]]を反映させることができます。 ## 検索しても見つからなかったときは... [[ノート]]を書いたのに、数ヶ月後に検索してもヒットしなかったという経験はありませんか? **存在する情報**を見つけられずに新しくノートを作成してしまうと、多重管理になってしまいます。**存在しない情報**を『あったはず...』と信じて探す時間は単なる無駄な時間です。 一方で、欲しい情報が必ずヒットするように[[ノート]]を書いていたら、[[ノート]]を書くことに疲れてしまうでしょう。 そのバランスを保つため、数年間の試行錯誤を経て、現在では次のフローに落ち着きました。 1. [[🦉Another Quick Switcher]]で **思いついたワードで** 検索 2. 1で見つからなかったら **キーワードを変えて** 検索 3. 2で見つからなかったら **全文検索** 4. 3で見つからなかったら『存在しない』と判断する ここでは特に、キーワードを変える工夫(2)や全文検索(3)について詳しく説明します。 ### キーワードを変えて検索 例えば『画像の背景を消す方法』を調べたい場合に `画像 背景 消す` と検索してみました。ご覧の通り0件です。 ![[Pasted image 20250119143447.png|frame]] ここで『"消す" ではなく "削除" ではないか?』と思いつきます。`画像 背景 削除` で再検索してみるとヒットしました。 ![[Pasted image 20250119143623.png|frame]] ### 全文検索 キーワードを変えてもヒットしない場合は全文検索します。[[🦉Another Quick Switcher]]には[[ripgrep]]を用いた[[Grep (Another Quick Switcher)|Grep]]機能がありますのでそれを利用します。 ![[Pasted image 20250119144831.png|frame]] *2で見つかったけど全文検索してみた* ~~[[Grep (Another Quick Switcher)|Grep]]機能は[[Custom searches]]とは異なり、**複数のキーワードを順不同で検索できません**。1単語ならまだしも、複数単語の場合は使い勝手が落ちます。もし、全文検索を多用するのであれば、[[Omnisearch]]を使った方がいいかもしれません。~~ #2025/11/23 現在は **複数キーワードを半角スペースで区切るだけ**で、**順不同含め検索できます**。 > [!caution] > [[Windows]]では初回の検索だけ結果の表示が遅くなることがあります。これは、[[ripgrep]]実行時に大量のfileioが走り、その速度が遅いためです。(私の環境だと1分弱かかります) ### キーワードを変えたり全文検索でヒットしたあとやること 情報が見つかったので、めでたしめでたし... とはなりません。**自分が直感的に入力したワードで検索したという事実は、ほぼ確実と言っていいほど未来に再発します**。それを避けるため、[[ノート]]の編集が必要です。選択肢は3つ。 - タイトルを変更する - [[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]を変更する - [[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]を変更する 今回のケースを改めて考えてみましょう。 - [[ノート]]のタイトルは『[[📕画像の背景を削除したい]]』 - `画像 背景 消す` でヒットしなかった タイトルは短くて簡潔です。[[#記録の章]]で述べたように変更すべきではありません。 > [[ノート]]のタイトルは検索条件として重要な情報です。そのため、アプリストアの[[SEO]]対策みたく、タイトルに検索でひっかけたい用語を追加してしまうかもしれません。そうではなく、**検索のことを意識せずに**適したタイトルをつけましょう。その方が検索結果も見やすく、文中への挿入も自然になります。 > *[[#検索の最小単位はノートにする]]* では、[[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]はどうでしょうか。[[📕画像の背景を削除したい]] のページには今のところ[[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]が設定されていないので、追加は可能です。ただ、『削除』と『消す』を同一視するために追加すべきかと言われると微妙なところでしょう。[[#記録の章]]では **用語** という表現を用いていますが、今回のケースは文章です。 > [[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]を設定する目的は **ある用語の異なる表現や揺らぎを検索で拾うこと** です。代表的な例としては、日本語/英語の表現です。 > *[[#aliasesプロパティを設定する]]* 以上から、今回のケースは[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]を変更します。執筆時点での[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]は以下のようになっていました。 ``` アイコン画像の背景を背景色にしたり、写真から人物だけを抽出したい場合など。 ``` 『消す』というワードは勿論のこと、『透明色』というワードでも引っかかるように変更してみました。 ``` 画像の背景を消す方法。主なユースケースは以下。- アイコン画像の背景を透明色にしたい- 写真から人物だけを抽出したい ``` この対応により、`画像 背景 消す` のワードで結果がヒットするようになりました。 ![[Pasted image 20250119145718.png|frame]] # まとめ [[🦉Another Quick Switcher]]を使用し、約10000のファイルから目的の[[ノート]]を瞬時に検索する方法を『[[#記録の章]]』『[[#検索の章]]』に分けて紹介しました。本当に重要なポイントは、次の3つに集約されます。 - 検索の最小単位はノートにする - [[aliasesプロパティ (Obsidian)|aliasesプロパティ]]と[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]を使う - 検索で見つからない場合は[[プロパティ (Obsidian)|プロパティ]]を見直す 今回の記事では論点がぶれてしまうため書けなかったこともいくつかあります。機会があれば、続編としてどこかでご紹介できればと思っています。 - [[MOC]]を使って検索スコープを視覚的に絞り込む戦略 - [[バックリンク]]を使った[[ノート]]間の繋がり把握方法 - [[🦉Carnelian]]を使って[[descriptionプロパティ (Obsidian)|descriptionプロパティ]]を簡単に設定する方法 [[AI]]による生産性向上も魅力的ですが、『自分』を一番よく知っているのは『自分』です。そんな『自分』が構築した[[PKM]]を最適化できるのもまた『自分』である...と信じています。 本記事がその一助になれば幸いです。