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発売日に購入して3ヶ月ほど使っていた[[HHKB Studio]]の使用をやめ、以前使っていた[[HHKB HYBRID Type-S]]に戻すことを検討してみました。
## はじめに
2023年10月の終わりにキーボードを買い換えました。今まで使っていた[[HHKB HYBRID Type-S]]から、新発売が告知された[[HHKB Studio]]にしたのです。その時の話は以下の[[📒Articles]]をご覧ください。
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📘一体どうして...私はHHKB Studioをポチってしまったのか?
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<div class="link-card-v2-content">HHKB Studioの購入経緯や2~3日利用したレビューを詳しく解説。メカニカルスイッチ方式やキーマップ変更、ポインティングスティック、ジェスチャーパッドの実用性、携帯性や安定感など、HHKBユーザーやキーボード選びで悩む方に役立つリアルな感想をまとめました。詳しくはブログでご覧ください。</div>
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%%[[📘一体どうして...私はHHKB Studioをポチってしまったのか?]]%%
## 数ヶ月経ったいま...
あれから数ヶ月が経ち、[[HHKB Studio]]はすっかり身体の一部になりました。もちろん毎日使っていますし、当初のように使うことに対する特別な気持ちもありません。当たり前の日々。項目ごとの状況を簡単にまとめるとこんな感じです。
| 項目 | 備考 |
| ----------------------------------------------------- | -------------------------- |
| キータッチ感 | 指が痛くなることもなく快適 |
| [[ポインティングスティック]] | 無意識で動かせるレベルに |
| [[Happy Hacking Keyboard Studioキーマップ変更ツール\|キーマップ変更ツール]] | ほぼ利用していない |
| [[ジェスチャーパッド]] | ほぼ利用していない |
要するに、キーボードとしての基本機能と[[ポインティングスティック]]を快適に使いこなせている状態です。
これといって大きな不満はありませんでしたが、小さなモヤモヤは未だ私の中に残っていました。[[HHKB HYBRID Type-S]]に戻るという選択肢です。
特に最近は[[ポインティングスティック]]で精密な操作をしているとき、腫れ物に触れるような感じになってストレスが溜まっている自覚がありました。
---
**『こういう細かい操作は[[タッチパッド]]や[[トラックボール]]の方が向いているよな...』**
**『だったらはじめからそっちでやればいいのでは..? 』**
**『[[ポインティングスティック]]を使っているのは、慣れるため自分に対して枷をはめただけなのでは...? 』**
---
次から次へと疑問が駆け巡ります。それならば... ということで、一度本気で[[HHKB HYBRID Type-S]]に戻ることを検討することにしました。
## HHKB HYBRID Type-Sに何を求めているのか
そもそも、[[HHKB HYBRID Type-S]]に戻るメリットはなんなのか... まずはそれを整理してみました。
### 無刻印モデルに戻れる
私は[[無刻印キーボード]]が好きです。[[HHKB HYBRID Type-S]]は2台とも無刻印化しています。好きな理由については、以下の[[📒Articles]]をご覧ください。
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📘10年越しの無刻印キーボードは何をもたらしてくれたのか?
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<div class="link-card-v2-content">無刻印キーボードの魅力や効果を、HHKBやブラインドタッチ、集中力向上、プロダクティビティ、尊師スタイルなどの観点から詳しく解説しています。無刻印化のメリットや実体験を知りたい方はぜひご覧ください。</div>
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<a data-href="📘10年越しの無刻印キーボードは何をもたらしてくれたのか?" class="internal-link"></a>
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%%[[📘10年越しの無刻印キーボードは何をもたらしてくれたのか?]]%%
[[HHKB Studio]]は無刻印モデルがありませんが、[[HHKB HYBRID Type-S]]に戻ることで[[無刻印キーボード]]をまた使えるようになるのです。
### 通勤の持ち物が減る
[[HHKB Studio]]は1台しか持っていないため、家と会社の行き来で持ち運んでいます。一方、[[HHKB HYBRID Type-S]]は家に2台、会社に1台あるため持ち運びの必要がありません。
### タクタイル感
静音リニアの[[メカニカルスイッチ方式]]である[[HHKB Studio]]とは異なり、[[HHKB HYBRID Type-S]]は[[静電容量無接点方式]]です。その押し心地はタクタイル感があります。私が10年使い続けていたというのもありますが、やはりタクタイル感の方がキーを押している感があって好きな気がしています。
### トラックボールの利用頻度が増える
私は[[ポインティングデバイス]]に[[トラックボール]]を使っています。具体的には[[Kensington]]の[[SlimBlade Pro Trackball]]という無線モデルを利用しています。
私がトラックボールを使い始めた理由は、腱鞘炎対策やスペース縮小といった健康面・効率面もありましましたが、それ以上に[[トラックボール]]を使うことの気持ちよさというものがありました。人間、球体のモノをゴロゴロ扱っているのは気持ちいいいものなのです。だから、[[ポインティングデバイス]]を多用するようになって遠ざかっていた[[トラックボール]]の利用頻度が増えることは、望ましいことだと思っていました。
### ポインティングスティックの依存解消
[[ポインティングスティック]]はカーソル配下にフォーカスをあわせたり、ちょっとしたカーソルの移動にとても便利です。ですが、その便利さゆえに **本来は操作する必要がないときにでもいじる癖がついてしまった** という欠点が出てきました。[[Vimmer]]向けに分かりやすく言うと『必要ないのに`<ESC>`を何度も叩いてしまう』あの感覚です。
大きな実害があるわけではありませんが、不要な操作をわざわざする必要はないはず... [[Vim]]の`<ESC>`は、現在の状態に関わらず常に一定の状態([[ノーマルモード]]かつ日本語入力OFF)を保証するための動作、テニスでいうスプリットステップみたいなものだと割り切れますが、[[ポインティングスティック]]をそう割り切るにはあまりに冗長な操作すぎます。
### ポインティングデバイスの精度向上
[[ポインティングデバイス]]として見ると、指一本で操作する[[ポインティングスティック]]よりも、手全体で操作する[[トラックボール]]の方が操作性が優れていると感じます。特に細かい作業や連続した操作を行うときは、[[トラックボール]]を使った方が圧倒的に楽です。
にも拘わらず、キーボードから手を離さなくてもよいという誘惑に負け、[[ポインティングスティック]]を使って頑張ってしまっている自分の姿があります。これも悪習だと思っており、このフラストレーションが今回の検討に至った大きな理由の1つでもあります。
## HHKB HYBRID Type-Sに戻ってみて感じたこと
考えても先に進まないので、半日ほど[[HHKB HYBRID Type-S]]に戻ってみました。
当初は『1週間くらい使って分析しようかな...』くらいに思っていましたが、数時間使っただけで思っていた以上の気づきを得られました。2点ほど大きな気づきがありましたので共有させてください。
### ポインティングスティックが使えないことのフラストレーション
多少は覚悟していました...が、これは想像以上でした。
冒頭で述べた通り、指はすっかり[[ポインティングスティック]]に慣れてしまい、入力が終わると **それがあたかもキーボードのホームポジションであるかのように** [[ポインティングスティック]]のポジションに指が移動していることに気づきました。当然、そこには何もありません。思い出すのは[[HHKB Studio]]でないことの空虚感だけ。
実際には[[ポインティングスティック]]を触らなくていいケースが半分以上です。それは半ば儀式のようなものに近いのかもしれません。ただ、**この儀式が殊の外、文章のタイピングにメリハリを与えていること**にも気づきました。テニスのスプリットステップという表現は言い得て妙だったかもしれません。
そして、かつては近いと思っていたキーボードから[[トラックボール]]への距離が想像を絶するほど遠いと感じました。これが慣れの恐ろしさというやつなのか...。ノートパソコンであれば、近くにトラックパッドがあるのでまだ許容できますが、デスクトップで[[トラックボール]]に移動するのはもう耐えられない身体になっていたのです。
とりあえずの対策として、以前から少し気になっていた[[Magic Trackpad]]を購入してみることにしました。
[[ポインティングスティック]]に比べれば遠いですが、[[FITTIO MOH-FTR]]の間に挟めばそこそこ移動が快適になるかなと期待しています。
### キータッチ性能ではすべてにおいて劣る
これも少し意外でした。[[HHKB HYBRID Type-S]]に戻す大きなモチベーションとして、冒頭で述べた以下の理由がありました。
> ### タクタイル感
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> 静音リニアの[[メカニカルスイッチ方式]]である[[HHKB Studio]]とは異なり、[[HHKB HYBRID Type-S]]は[[静電容量無接点方式]]です。その押し心地はタクタイル感があります。私が10年使い続けていたというのもありますが、やはりタクタイル感の方がキーを押している感があって好きな気がしています。
最初こそ、いつもと違う打鍵感で新鮮味がありました。ミニマムな[[HHKB HYBRID Type-S]]のレイアウトも美しいと思うし、適度に鳴るタイプ音も心地よかった。最初の数時間は。
しばらく使っていて違和感を感じるようになりました。
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**『左指が痛い..? この数ヶ月は腱鞘炎とほぼ無縁だったのに...? 特段力も入れてないし底打ちしているつもりもないのだけど...』**
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愚かなことですが、このときはじめて気づきました。**[[HHKB Studio]]のキータッチが如何に指に優しく優れたものであったか**ということを。
また、これは分かっていたことですが、タイピング速度という点ではどうしても[[HHKB Studio]]に軍配が上がります。リニアで押し込みが早く、キーピッチも2mm短いというのがかなり効いていると思います。
正直、タイピングスピードのちょっとした違いだけなら気にするつもりはありませんでした。競技タイピングをしているわけではないので、そこをきわめてもしょうがないかなと。ただ、**指に対する負担が段違いである**というのは無視できない事実です。キーボードが叩ける健康体であることが何よりも優先度が高い生活を送っているのですから。
## ただいま HHKB Studio
改めて[[HHKB Studio]]に戻してみました。
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**『ああ... 指をのばすと[[ポインティングスティック]]があるこの安心感... プライスレス』**
**『左指でShiftやCtrlを押しても全然疲れない... 素直にスッと押下できる... GREAT』**
**『改めて使ってみると、こっちのタイピング感の方が実は好きだな...』**
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コンパクトさや携帯性においてはどうしても劣りますが、それ以外の面では圧倒的だということを身をもって学びました。
## さらば HHKB HYBRID Type-S
今回の検討と[[HHKB HYBRID Type-S]]の再利用を経て、私は[[HHKB HYBRID Type-S]]と永遠に訣別することを決心しました。
この検討の前後で、結果的には何も変わりませんでした。時間だけを消費したように思えるかもしれません。ですが、私の中では積年のモヤモヤがとれてかなりスッキリしました。少なくとも今は、[[HHKB Studio]]を信じて使い続けていくのが最善であると自信をもって言えたのだから。
そうそう。[[Magic Trackpad]]購入の背中押しにはなりましたしね。
今となっては不要かもしれませんが... いや、新しい発見というものは、こういう期待していなかったところから湧いてくるものなのです。
以上をもちまして、10年以上[[静電容量無接点方式]]の[[HHKB]]を使い続けた私が、[[HHKB Studio]]に移行して3ヶ月経ち、[[HHKB HYBRID Type-S]]に戻ろうと試みるも訣別するに至ったお話を終了とさせていただきます。
え、[[ジェスチャーパッド]]? 御後が宜しいようで 🙇
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<small>※ 本ページのイラストはAI(DALL·E)により生成されたものです</small>