[[📒Articles]] > [[📒2023 Articles]]
![[2023-09-06.jpg|cover-picture]]
人はなぜ[[無刻印キーボード]]などという非効率なモノを使うのでしょうか? 少なくとも2年前の私にはその答えが分かりませんでした。
**カッコイイから? オシャレだから?**
たしかにインテリアとしては鮮麗されていると思いますが、それは[[プロダクティビティ]]を引き換えにしてまで優先すべき事項ではありません。自分にとって、それは今も昔も変わっていません。
そう。[[無刻印キーボード]]は[[プロダクティビティ]]を上げます。その理由について、私が[[無刻印キーボード]]の利用を始めるに至った歴史を紐解きながらご紹介させてください。
## [[無刻印キーボード]]とは?
本題に入る前に、『[[無刻印キーボード]]ってそもそも何?』という読者の方がいらっしゃるかもしれませんので簡単に触れておきます。[[無刻印キーボード]]とは **[[キーキャップ]]に印字がされていないキーボード** のことです。
![[PXL_20230906_091638569.jpg|frame]]
*[[HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨]] x 無刻印[[キーキャップ]]*
あらかじめ無刻印モデルが販売されているモノもあれば、後から無刻印の[[キーキャップ]]を購入して[[無刻印キーボード]]にしてしまうケースもあります。
## [[無刻印キーボード]]との出会い
はじめて[[無刻印キーボード]]と出会ったのはもう10年以上前のことです。ITエンジニアとして働き始めてちょうど2~3年目だったあの頃、私は長く使える相棒と言えるキーボードを探していました。
はじめは[[REALFORCE]]を購入して使っていたものの、[[AutoHotkey]]でホームポジション付近のキーバインドを戦略的に設定[^1]するようになってからは、不要な周囲のキーをそぎ落としたミニマムなキーボードが欲しくなりました。
[^1]: 設定については[[🦉Spinal reflex bindings template]]を参照
そこで目を付けたのが[[HHKB]]です。当時購入したモデルは[[HHKB Professional JP]]というものでした。はじめて[[無刻印キーボード]]を見かけたのはそのときでした。
<div class="link-card-v2">
<div class="link-card-v2-site">
<img class="link-card-v2-site-icon" src="https://happyhackingkb.com/favicon.ico" />
<span class="link-card-v2-site-name">Happy Hacking Keyboard</span>
</div>
<div class="link-card-v2-title">
Happy Hacking Keyboard | HHKB Professional2 | PFU
</div>
<div class="link-card-v2-content">
株式会社PFUがお届けする高性能コンパクトキーボード、HHKB・Happy Hacking Keyboard Professional2 のページです。
</div>
<img class="link-card-v2-image" src="https://happyhackingkb.com/ogp.png" />
<a href="https://happyhackingkb.com/jp/products/discontinued/hhkb_pro2/"></a>
</div>
英字配列のモデルである[[HHKB Professional2]]には無刻印モデルがあったのです。個人的に[[📗日本語配列のキーボードを使う]]というポリシーがあるため、選択肢には含めませんでしたが、初めて見たときに感じたことは昨日のことのように覚えています。
**『無刻印キーボードって誰得なんだろう...?』**
## [[無刻印キーボード]]購入のきっかけ
それから8年ほど歳月が経ちました。途中、[[HHKB Professional JP Type-S]]などの上位モデルに乗り換えつつ、最終的には仕事でもプライベートでも[[HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨]]を使うようになっていました。
<div class="link-card-v2">
<div class="link-card-v2-site">
<img class="link-card-v2-site-icon" src="https://happyhackingkb.com/favicon.ico" />
<span class="link-card-v2-site-name">Happy Hacking Keyboard</span>
</div>
<div class="link-card-v2-title">
Happy Hacking Keyboard | HHKB HYBRID Type-S | PFU
</div>
<div class="link-card-v2-content">
株式会社PFUがお届けする高性能コンパクトキーボード、HHKB・Happy Hacking Keyboard HYBRID Type-Sのページです。
</div>
<img class="link-card-v2-image" src="https://happyhackingkb.com/ogp.png" />
<a href="https://happyhackingkb.com/jp/products/hybrid_types/"></a>
</div>
HYBRID Type-Sモデルは無線も有線もこなす優れたモデルでした。~~まあ、無線だと思い通りに伝わらないことがあり、結局は有線一択なんですけど~~。
**『しばらくはキーボードを買い替える必要はなさそうだな』**
そう思っていたところ、約1年後に事件は起きました。[[HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/雪]]の限定販売です。
<div class="link-card-v2">
<div class="link-card-v2-site">
<img class="link-card-v2-site-icon" src="https://www.pfu.fujitsu.com/favicon.ico" />
<span class="link-card-v2-site-name">www.pfu.fujitsu.com</span>
</div>
<div class="link-card-v2-title">
PRESS RELEASE Happy Hacking Keyboard生誕25周年特別記念モデルを限定販売 | 株式会社PFU
</div>
<div class="link-card-v2-content">
Happy Hacking Keyboard生誕25周年特別記念モデルを限定販売 ~雪をイメージした純白カラーの最上級モデルをご提供~
</div>
<img class="link-card-v2-image" src="https://www.pfu.fujitsu.com/news/2021/images/new211025-sns.png" />
<a href="https://www.pfu.fujitsu.com/news/2021/new211025.html"></a>
</div>
10年近く[[HHKB]]を利用しているファンとしてこの機会を逃すわけにはいきませんよね。ということで必要はないにも関わらずポチっとしていました。~~限定と言いつつ翌年普通に販売開始してましたけど~~。
<div class="link-card-v2">
<div class="link-card-v2-site">
<img class="link-card-v2-site-icon" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" />
<span class="link-card-v2-site-name">Minerva</span>
</div>
<div class="link-card-v2-title">
📘純白のHHKBで無刻印デビューしてみた
</div>
<div class="link-card-v2-content">HHKB Professional HYBRID Type-S日本語配列「雪」と無刻印キートップを導入した感想を詳しくレビュー。無刻印化やブラインドタッチ、純白キーボードの使い心地、限定モデルの魅力や注意点も解説しています。HHKBやキーボード選びに興味のある方はぜひご覧ください。</div>
<img class="link-card-v2-image" src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/%F0%9F%93%98Articles/attachments/2021-11-02.jpg" />
<a data-href="📘純白のHHKBで無刻印デビューしてみた" class="internal-link"></a>
</div>
%%[[📘純白のHHKBで無刻印デビューしてみた]]%%
この時に初めて無刻印モデルを購入したのです。当時の私は[[無刻印キーボード]]のメリットを何1つ想像できませんでしたが負けました、雪モデルの無刻印が放つ美しさに。
![[2021-11-01_06.jpg|frame]]
*墨モデル(刻印あり) と 雪モデル(刻印なし)*
## 無刻印キーボードはテンションを上げる
まずはじめに感じるのはこれ、やはりテンションが上がります!
それもそのはず...普通に考えれば刻印モデルの機能劣化版である無刻印モデルを、わざわざ大金はたいて購入したのですから。ほとんどの方が魅了されたのは間違いなくその **『見た目』** にあると思います。私もあります。
![[2023-09-06.jpg|frame]]
*この佇まいにはうっとり💖*
たかが見た目と思われるかもしれませんが、されど見た目です。見た目はやる気を感じさせる重要なファクターです。綺麗なオフィスより汚いオフィスの方がやる気が出る人は少数派でしょう。同じモノを使うのであれば美しいに越したことはありません。
キーボードを[[HHKB]]に買い替えられた人で、以下のような感想を述べられている方、私は何人も見てきました。
**『キーボードでタイピングするのが楽しくなった。なんなら... PCの電源を入れていないときでも、ついタイピングしてしまうくらいには。』**
[[HHKB]]ユーザーの方であれば誰もが通ったことのある道です。無刻印モデルを使い始めた直後も、似たような感情にとらわれます。
**『キーボードでタイピングするのが楽しくなった。以前より手元のキートップを見る回数が増えてしまったかもしれない。手元を見たところで特に得られるものは何もないのに...。』**
## 無刻印キーボードはブラインドタッチの精度を向上させる
使っているうちに感じたメリットは、ブラインドタッチの精度向上でした。
正確に言うと、無刻印にした直後は逆に精度が落ちると思います。今まで手元を(無意識でも)チラチラ見て決断していた場面で迷いが生じ、打ち損じが増えます。ただそれもつかの間、1ヶ月くらい無刻印モデルを使い続けていれば、身体が覚えるようになってきます。
身体がキーを覚えてしまえばあとは速度と精度が上がるだけです。はじめてブラインドタッチができるようになったときに乗り越えた試練と同じく、無刻印モデルを使い続けることによって、苦手だった数字や記号の入力ができるようになってきました。
ほとんどの人にとって、[[キーキャップ]]を完全に見ないブラインドタッチを習得しなければならないことはないでしょう。仮に習得しても、それに見合った恩恵を得られるかは謎です。ですが、キーボードにここまで拘りを感じる貴方のような方であれば、このストイックな領域の成長を楽しめると思います。
え? 『私はそんなキーボードに拘りはない』ですって? ご冗談を。キーボードに拘りがない方であれば、このような酔狂な記事は読まれないことでしょう。拘りはないかもしれませんが、少なくとも興味はお持ちであると見受けられます。
## 無刻印キーボードは集中力を上げる
最後はコレです。[[無刻印キーボード]]は確実に集中力を上げてくれます。
### [[尊師スタイル]]への切り替え
私はつい最近まで、外で作業をするときはノートパソコン付属のキーボードを使っていました。具体的には[[New Precision 5470]]というモデルの付属キーボードです。
<div class="link-card-v2">
<div class="link-card-v2-site">
<img class="link-card-v2-site-icon" src="https://www.dell.com/favicon.ico" />
<span class="link-card-v2-site-name">Dell</span>
</div>
<div class="link-card-v2-title">
Dell Precision 5470 14インチ モバイル ワークステーション:Dellワークステーション | Dell 日本
</div>
<div class="link-card-v2-content">
Dell Precision 14インチ モバイル ワークステーション(5470)、ならびに豊富なラインアップのDell PrecisionワークステーションをDell.comでご覧いただき、最適な製品をお選びください。De ...
</div>
<img class="link-card-v2-image" src="https://i.dell.com/is/image/DellContent/content/dam/ss2/product-images/dell-client-products/workstations/mobile-workstations/precision/14-5470/spi/ng/workstations-precision-14-5470-campaign-hero-504x350-ng.psd?fmt=jpg&wid=570&hei=400" />
<a href="https://www.dell.com/ja-jp/work/shop/cty/pdp/spd/precision-14-5470-laptop/cupa1005470n16cn2ojp_vp"></a>
</div>
このマシンは結構良いものでして、キーボードも長時間使っても指が疲れにくく、快適にタイプできるようになっています。普段[[HHKB]]を使っている私からでもそう感じます。ですが、ここ最近はノートパソコンと一緒に[[HHKB]]を持ち出して作業をするようになりました。
![[PXL_20230906_095220230.jpg|frame]]
*最近外でノートパソコンを使うときのスタイル*
画像の通り、[[HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨]] x 無刻印キーキャップのモデルを[[尊師スタイル]]で使っています。
トラックパッドの左右には[[ELECOM]]製のリストレスト [[FITTIO MOH-FTR]]を配置しています。ケーブルは[[U2C-CCL05NBK]]という短めのL字ケーブルを使うことで[[尊師スタイル]]を妨げずに有線の安定した接続を享受できます。
![[PXL_20230903_113656097.jpg|frame]]
*リストレストとケーブル*
なお、[[キーボードブリッジ]]や[[Typesticks]]は使っていません。ノートPCのキーボード上に直接[[HHKB]]を置いていますが、今のところ誤って本体のキーボードを押してしまったことはありません。もしかすると、[[HHKB吸振マットHG]]を下に貼っているおかげで、いい感じに衝撃が遮断されているのかもしれませんが。
...
少し話を戻しましょう。**『無刻印の話をしていたのになんで[[尊師スタイル]]の話になるの?』** って思われたかもしれません...が実は...関係あるんです。理由を聞いたら『ハァ!?』と思われるかもしれませんが... その覚悟ができた方は先にお進みください。
### [[尊師スタイル]]をしなかった理由
実は今まで、ノートパソコンで[[尊師スタイル]]をしていなかったのには理由があります。
- [[HHKB]]を持ち運ぶのはかさばるし面倒だし重いから
- 大衆の中で[[尊師スタイル]]するのは恥ずかしくて勇気が足りなかったから
まあよくある理由ですよね。この2つは。この2つの理由が全くないというわけではありません。でもそれ以上の理由がありました。私はつくづく感じていたのです。**[[HHKB]]を使って[[尊師スタイル]]をすると、なぜか集中できない**ということを。
この理由を私は長年解明することができませんでした。ですがある日、職場で[[無刻印キーボード]]を使って[[尊師スタイル]]してみたときに気づいたのです。いつもとは違う心情。目の前の画面にすべてを集中しつつ、心情は穏やかで頭が冴えていく様に。すなわち[[ゾーン]]です。当時は『今日はたまたま調子が良かったのかな?』程度にしか思っていませんでした。
しかし、その集中力は再現性がありました。仕事以外で[[尊師スタイル]]しても同じ境地には至れないにも関わらず、仕事で[[尊師スタイル]]するときは高い確率でその境地に入れます。仕事かどうかという違いは当然ありますが、それだけでは説明できない何かを感じていました。他の違いはというと... 当時仕事以外で使っていた[[HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨]]が **まだ刻印つきだった** ということだけ。
### 無刻印のマジック
そこで試しに、[[キートップセット(墨) 日本語配列/無刻印]]を購入して、[[HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨]]を無刻印化してみました。
![[PXL_20230823_082503093.jpg|frame]]
*無刻印化した墨モデル*
もともと[[キーキャップ]]の印字が目立たないので、無刻印化の意味がほとんどなくない? とからかわれるような墨モデルです。白や雪モデルのような明確な違いは分かりません。遠目から見たら、どちらが無刻印か分からないでしょう? 正直なところ。
ただ、**効果はありました**。無刻印モデルを使うようになってから、仕事以外で[[尊師スタイル]]しても、かなりの確率で[[ゾーン]]に入れるようになりました。
### 集中力を奪っていたのは...
不思議に思った私は少し仮説を立ててみました。
```
尊師スタイルの場合に限り、刻印モデルで集中できず、無刻印モデルで集中できる理由...
それは『視界に入る画面とは無関係の文字数による違い』ある。
外付けモニタを使って作業をしているとき、視線は正面になるため、手元のキーキャップを見ることはほとんどない。しかし、尊師スタイルで作業をするとき、視線は斜め下になるため、手元のキーキャップが(無意識下にでも)目に入ってしまう。
刻印モデルの場合、それはキーキャップに印字された文字を意味する。人は意味を持たない文字からも無意識で意味を作り出してしまうため、それが集中力を阻害しているのではないだろうか。
一方、無刻印モデルであれば、キーキャップが目に入っても字は1文字も目に入らない。その結果、集中力は奪われず、目の前の画面に映し出されたことに集中できる。
```
いかがでしょうか? 『そんなんほとんど変わらんだろ...』 と思うかもしれませんが完全には否定できませんよね? 物事を突き詰めると、最後はこういうところが大事になり、そこで差が生まれるのだと私は信じています。
## まとめ
[[無刻印キーボード]]は格好良くてオシャレです。ただそれだけはありません。[[無刻印キーボード]]には[[プロダクティビティ]]を上げるポテンシャルが秘められています。
- テンション(やる気)の向上
- ブラインドタッチ力の向上
- 集中力の向上
もし貴方が、仕事中でもプライベートでも普段から[[尊師スタイル]]で[[HHKB]]を使っているようなお方であれば... 是非一度試してみてください。無刻印モデル。運が良ければ新たな道が開けるかもしれませんので👍
![[2021-11-01_05.jpg|frame]]
*無刻印モデル 雪*