[[📒Articles]] > [[📒2023 Articles]] ![[2023-06-27.jpg|cover-picture]] ## はじめに [[Obsidian]]で[[PKM]]をはじめてから2年半が経ちます。私の周りでも[[Obsidian]]や[[PKM]]に興味を示し、チャレンジした方はそこそこいらっしゃいます...が、今も続けている方はレアで、やめてしまった人の方が多いと感じます。 実際にやめてしまった方へ理由を聞いてみると、以下のような回答をいただくことが多いです。 - [[Obsidian]]の使い方がイマイチ分からない - [[Obsidian]]を使いこなせていないと感じる... これなら[[VSCode]]や[[Notion]]でいい - なんとなくメモをとっている状態のままで、[[PKM]]をやっている気分になれない やってみようと頑張ってみたものの、どうも手になじまず...という感じでしょうか。 ### [[Obsidian]]や[[PKM]]は難しい 正直なところ、[[Obsidian]]や[[PKM]]は難しいと思います。どれくらい難しいかと言うと、[[Vim]]の習得に近いかなと。はじめる前に思想を理解していなければ、そもそも使うことの価値がイマイチ分からないと思います[^1]。また、[[Obsidian]]は素の状態で使うには若干機能不足だと思います。[[Emacs]]のようになんでも屋にする必要はありませんが、[[Vimプラグイン]]を入れる程度の嗜みは必要でしょう。 ### メリットが伝えられれば... ただ、私が2年半以上も[[Obsidian]]や[[PKM]]を続けられているのは、ただ忍耐強かったからではありません。それらに明確なメリットを感じているからです。そのメリットはある日突然感じるものではなく、日に日に積み重なっていく感覚です。 このまだ見ぬメリットを伝えることができれば、多少高いハードルでもチャレンジしてくれる人が増えるのではないか? そんな願いを込めてこの記事を書くことにしました。構成は以下の2本柱にしています。 - [[PKM]]を続けられる理由 - [[Obsidian]]を続けられる理由 ### 対象の読者 本稿は、[[Obsidian]]や[[PKM]]を少し(1週間以上)試してみたことのある、もしくは試している方を対象としています。そのため、[[Obsidian]]や[[PKM]]の説明はしません。 ## 筆者について 本題に入る前に筆者の[[📕tadashi-aikawa]]について簡単に紹介させてください。 自称[[プロダクティビティクリエイター]]、業務経験13年のエンジニアです。[[PKM]]もエンジニアになった頃にはじめたので13年ほど。 どういう仕事をやっているのかは[[🦉tadashi-aikawaの職務経験]]をご覧ください。何ができるかは[[🦉tadashi-aikawaのスキルマップ]]に記載しています。また、プライベートで開発している[[OSS]]は[[📒My Products]]にまとめています。 [[Obsidian]]をはじめた経緯は以下の記事をご覧ください。本稿を読むにあたって必要ではありませんが、知っておくと理解が深まるかもしれません。 <div class="link-card"> <div class="link-card-header"> <img src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" class="link-card-site-icon"/> <span class="link-card-site-name">minerva.mamansoft.net</span> </div> <div class="link-card-body"> <div class="link-card-content"> <div> <p class="link-card-title">📘Obsidianは10年後の礎になると半年間使って確信した話</p> </div> <div class="link-card-description"> Obsidianを使い始めてからちょうど半年が経過した。これまでの体験から私は自信をもって言える。Obsidianは次の10年の礎になるツールであると。 </div> </div> <img src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/%F0%9F%93%98Articles/attachments/2021-07-14.jpg" class="link-card-image" /> </div> <a class="internal-link" data-href="📘Obsidianは10年後の礎になると半年間使って確信した話" ></a> </div> %%[[📘Obsidianは10年後の礎になると半年間使って確信した話]]%% [[Obsidian]]に関する[[📒Articles]]は以下にまとめていますので、興味がありましたらお読みいただければと思います。 <div class="link-card"> <div class="link-card-header"> <img src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/favicon-64.png" class="link-card-site-icon"/> <span class="link-card-site-name">minerva.mamansoft.net</span> </div> <div class="link-card-body"> <div class="link-card-content"> <div> <p class="link-card-title">📒Obsidianについて書いたArticle一覧</p> </div> <div class="link-card-description"> Minervaのブログコンテンツ、📒ArticlesからObsidianに関連するものを新しい順にピックアップしてみました。 </div> </div> <img src="https://publish-01.obsidian.md/access/35d05cd1bf5cc500e11cc8ba57daaf88/Notes/attachments/minerva-image.webp" class="link-card-image" /> </div> <a class="internal-link" data-href="📒Obsidianについて書いたArticle一覧" ></a> </div> %%[[📒Obsidianについて書いたArticle一覧]]%% ## [[PKM]]を続けられる理由 私が初めてブログを執筆したのは20年以上前のことです。そんな私でも、[[PKM]]を日々続けていくのは楽なことではありません。正直なところ、[[Obsidian]]を開いて何か書いているときはストレスが溜まっていると思います。身体反応がそれを示しています。 誤解してほしくないのは[[PKM]]が嫌いなわけではないということです。[[Obsidian]]を使って何かやっているときの大変は楽しいです。充実感もあります。ただ、楽しいことでもストレスはかかります。その場で完結するメモとは異なり、コーディングのように全体や未来を見ながら今の文章を構成していく[[PKM]]は、常に思考と判断の連続であり、そのこと自体がストレスとなります。 ### 習慣化の力 それでも[[PKM]]を続けられる一番の理由... それは**習慣化に成功したから**だと思います。 私は[[Obsidian]]を使ってタスク管理も行っているため、起床後には必ずパソコンの電源を入れ、[[Obsidian]]を起動し、[[デイリーノート]]を書き始めます。パソコンが使えない環境の場合は、スマホから[[Obsidian Mobile]]を起動します。圏外の場合は? 幸い、1日中圏外になるようなことはここ数年ありませんでした。 いきなりしっかりした[[PKM]]を実施することは不可能でしょう。プログラミングを学びはじめたばかりの人が、いきなり1から設計してアプリケーションを作るようなものです。まずは **[[デイリーノート]]** を毎朝開いて、何か書く習慣をつけることから始めましょう。定期的なタスクを[[Obsidian]]で管理するなら、[[Obsidian Tasks]]プラグインがよく使われています... が個人的には私が開発した[[🦉Silhouette]]をオススメしています。(READMEは日本語です) <div class="link-card"> <div class="link-card-header"> <img src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" class="link-card-site-icon"/> <span class="link-card-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-body"> <div class="link-card-content"> <div> <p class="link-card-title">GitHub - tadashi-aikawa/silhouette: Simple task management tools for Obsidian</p> </div> <div class="link-card-description"> </div> </div> <img src="https://opengraph.githubassets.com/9af70f0547fa9914467d8c2267d9fc7164d75da684b0a1de1185ef9c250dce6c/tadashi-aikawa/silhouette" class="link-card-image" /> </div> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/silhouette"></a> </div> ### ゲームのように成長を楽しむ 成長とは、自分自身の成長でもあり、[[PKM]]の対象物が育っていくこと (例: [[Minerva]]) でもあります。この成長を楽しめるかどうかは、[[PKM]]を続けられるかどうかを決める大きな要因の1つでしょう。この楽しみはある種ゲームのようなものだと思っています。 #### シミュレーションゲームとしての[[PKM]] 私はシミュレーションゲームが好きです。ゲーム内のキャラクターが成長していくことや、プレイヤー自身が成長していくのを実感するのが快感です。私が過去にハマったことのあるゲームをいくつか挙げてみました。 - パワプロのサクセス - 不思議なダンジョンシリーズ (主にシレン) - モンスターファーム1と2 これらのゲームにハマったことのある方なら、きっと[[PKM]]にもハマるポテンシャルがあると感じています。というのも、[[PKM]]は上記ゲームのキャラクターが別の対象に置き換わっただけなのです。私が[[Obsidian Publish]]で運営している[[Minerva]]は成長するキャラクターであり、[[Daily notes]]や[[📰Weekly Report]]といった類の[[ノート]]に成長の軌跡が記録されていると捉えられます。 #### ソシャゲとしての[[PKM]] [[PKM]]にはソシャゲとしての側面もあります。運営が終了させるまで終わりがなく、毎週のように新たなイベントが発生する...という点が[[PKM]]に似ています。 [[PKM]]には終わりがありません。どんなに時間を費やしても、世の中の知識をすべて収めることは不可能ですし、個人の思考は際限なく湧いてきて変化するものです。また、世の中の動きによって新しい知識や思考が必要になったり、自身の思想が変化して新たなナレッジの海へダイブすることもあるでしょう。これらはソシャゲの定期イベントに近いものです。 余談ですが、私は現在ソシャゲをやっていません。以前はドラクエウォークやぷよぷよクエストなどプレイしていたこともありますが、あまりにハマりすぎて日常生活の時間の大半を消費してしまっていました。『このままではマズイ...』と思い、強い意志でデータごとアンインストールして、それからは関わらないことにしています。 ですが、[[PKM]]ならその心配はありません。次の章で紹介しますが、[[PKM]]はあらゆる点で日々の生活を助けてくれるモノだと思います。終わりはなく、時間も取られますが、運営が終了した瞬間にすべてが水の泡になることはありません。 #### RPGとしての[[PKM]] 私が学生だった時代はドラゴンクエストが一大ブームでした。特に記憶に残っているのは社会現象にもなったドラクエ3でしょう。 物語が進む過程で、新たな鍵、船やラーミアといった移動手段を手に入れると、今まで行けなかった場所に行けるようになります。この世界が広がる感じが好きでしたし、今プレイしてもワクワクすると思います。行先が未知の場所であればワクワクするのは勿論のこと、既に知っている場所の知らざる側面に出くわすこともあります。『あー... ここに繋がるのかー』と。 この **思いもよらぬ繋がりを発見し、周辺の世界が広がっている感じ** こそが[[PKM]]の醍醐味です。[[LYT]]や[[Evergreen Notes]]、[[Zettelkasten]]など有名なメソッドを学んだことのある方なら聞いたことはあるかもしれません。ただ、この**予期せぬ繋がりは想像以上にゲームの後半でないと起こりません**。2年半も[[Obsidian]]でそれらを実践している私でさえ、偶然の繋がりに遭遇するのは1年でも数えるほどです。それでも、それに出くわした瞬間には何とも言えぬ高揚感を覚えます。 もし貴方が...RPGのこのような側面が好きな方であれば、[[PKM]]を続けていくうちに同等の楽しみを見出せるかもしれません。序盤はお使いイベントが多いものです。後半の伏線回収フェーズを楽しみに、まずは1年[[PKM]]を続けてみてはいかがでしょうか。 ### どう役に立つのか? 私の場合、仕事でエンジニアをやっているため、[[Minerva]]の知見ほぼすべてが仕事ですぐに役立つ可能性があります。特にこの業界は、日々勉強して新しいモノを取り入れることが求められるため、普段から[[PKM]]で成長できるようにしておくと心の平穏にもなります。『やることはやっている』という自信にもなります。 #### 知識を探すのに役立つ 単純な[[マークダウンファイル]]の集まりやWebに比べて、[[Obsidian]]ではより高度な検索が可能となっているため、情報を探しやすいです。特に私が開発した[[🦉Another Quick Switcher]]を使うことで、[[IDE]]以上の検索ポテンシャルを引き出せます。 <div class="link-card"> <div class="link-card-header"> <img src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" class="link-card-site-icon"/> <span class="link-card-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-body"> <div class="link-card-content"> <div> <p class="link-card-title">GitHub - tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher: This is an Obsidian plugin which is another choice of Quick switcher.</p> </div> <div class="link-card-description"> </div> </div> <img src="https://opengraph.githubassets.com/e7b05ef7b6935291c5e39e0e2d46b8520ef68507c99670081d4a3a6fa97df5b1/tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher" class="link-card-image" /> </div> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/obsidian-another-quick-switcher"></a> </div> 少し古いバージョンですが、[[🦉Another Quick Switcher]]の特徴的な機能を把握するには、[[👤ぷーおん]]さんに書いていただいた以下の記事がオススメです。 <div class="link-card"> <div class="link-card-header"> <img src="https://pouhon.net/wp-content/uploads/2020/12/favicon000-150x150.png" class="link-card-site-icon"/> <span class="link-card-site-name">Output 0.1</span> </div> <div class="link-card-body"> <div class="link-card-content"> <div> <p class="link-card-title">[Obsidian] Another Quick Switcherに迫る！ (対談企画04)</p> </div> <div class="link-card-description"> Obsidianに「クイックスイッチャー」という機能があることをご存知だろうか？最近開いたノートをもう一度開きたければ、Ctrl/⌘ + O を押してみるといい。クイックスイッチャーはいとも簡単に、そ... </div> </div> <img src="https://pouhon.net/wp-content/uploads/2020/10/obsidian_logo.jpg" class="link-card-image" /> </div> <a href="https://pouhon.net/obsidian-aqs/7472/"></a> </div> #### 知識の共有に役立つ [[Obsidian Publish]]を使って[[ノート]]をアップロードしておけば、[[URL]]の共有によって他人と知識を共有できます。[[📒Obsidian Publishの代替手段]]もいくつか存在しますので、そちらを利用しても構いません。 特にプライベートで学んだ知識を仕事で共有するときに便利です。私の[[PKM]]は[[Daily notes]]を除くほぼすべてが[[Minerva]]として[[Obsidian Publish]]で公開しています。[[Slack]]などの業務チャット上で質問されたとき、アンサーとなるページの[[URL]]を共有するだけで済むのは日々の時間を節約してくれます。 他にも、別の会社で働きたくなったときに、自分自身の情報をまとめておくと便利でしょう。私の場合は主に以下3つの[[ノート]]をメンテナンスしています。 - [[🦉tadashi-aikawaのスキルマップ]] - [[🦉tadashi-aikawaの職務経験]] - [[📒My Products]] [[GitHub]]にもそれなりにアウトプットしているつもりではありますが、ソースコードだけではその人の仕事ぶりを見極めるのは難しいと思います。[[PKM]]のような文章表現、文章設計をあわせることで、双方にとってベストなマッチングができればいいなと思っています。ミスマッチはお互い時間の無駄ですからね...。 #### 知識の定着に役立つ **『Webサイトの内容をワンクリックでらくらくローカルに保存』** 一見便利そうであり、効率的に見えるフレーズ。私の思想はこれとは真逆にあります。**コピペしたものに価値はなく、自分の言葉で表現しなおしたものに初めて価値ができる**という考え方です。 考えてみてください。コピペをして知識が定着するなら、小学生のときに漢字の書き取りや算数の演習を必死に繰り返す必要はないでしょう。見れば覚えるってことなんですから。実際のところ、ほとんどの人は見るだけでできるようにはなりません。自分の脳で考え、自分の身体で覚えることが必要です。これが定着だと思います。 [[PKM]]は **単に自分の言葉で表現しなおすだけでなく、既に存在する別の言葉とどのように関連付けるか** を考える必要があります。この作業が定着に大きな貢献をします。関連候補の[[ノート]]を見直すことで、それの理解も一層定着するでしょう。関連候補が未知なるものであれば、未知のまま残してもよし、この機会に自分のモノとして定着しにいっても良し。それを自分自身で決めることすらも[[PKM]]の醍醐味でしょう。 ## [[Obsidian]]を続けられる理由 ここまでは[[PKM]]の話をメインに、[[Obsidian]]の話は具体例として話をしてきました。ここからは、[[Obsidian]]の話がメインになりますので、[[PKM]]の話はあまり出てこなくなります。 ### 開発サイドへのシンパシー [[Obsidian]]を続けられる大きな理由の1つに開発サイドへのシンパシーがあります。公私共にエンジニアである私から見て、開発サイドへ好感や共感が持てることは非常に大事な要素です。後ほどもう1つの理由として触れますが、[[Obsidian]]の[[コミュニティプラグイン]]を開発する身としても大事なポイントです。 #### [[Obsidian]]設立者の[[PKM]]に対する情熱 [[Obsidian]]共同設立者の1人、[[👤Erica]]氏は以下のインタビューで[[PKM]]に関する想いや、なぜ[[Obsidian]]の開発を始めたかを語っています。 <div class="link-card"> <div class="link-card-header"> <img src="https://nesslabs.com/wp-content/uploads/2018/09/cropped-favicon-ness-32x32.png" class="link-card-site-icon"/> <span class="link-card-site-name">Ness Labs</span> </div> <div class="link-card-body"> <div class="link-card-content"> <div> <p class="link-card-title">Exploring the power of note-making with the co-founder of Obsidian</p> </div> <div class="link-card-description"> In this interview, we talked about the power of customizing your note-taking environment, note-takin... </div> </div> <img src="https://nesslabs.com/wp-content/uploads/2021/08/obsidian-featured-tool-banner.png" class="link-card-image" /> </div> <a href="https://nesslabs.com/obsidian-featured-tool"></a> </div> この記事に対する私の感想は[[📘Obsidian 1.0がリリースされた#Obsidian 設立者へのインタビュー記事]]にまとめておりますが、読み始めて1分もしないうちに[[PKM]]やツールに対する情熱が伝わってくるでしょう。**『私と同じだ...』**。読んでいて思いました。 ツールは生き物です。誕生した当初の目的や、想像していた未来とは異なる方向へ進んでいくことが多々あります。特にそれらは、開発者以外の人たち、つまりフィードバックをくれるユーザーによって引き起こされることも多いです。私が開発している[[🦉Various Complements]]や[[🦉Another Quick Switcher]]も、当初の思想からぶれてはいないものの、本来考えていなかった新機能の追加をいくつも施してきました。 1つのツールを長期間使い続ける意思決定をするにあたり、開発サイドの意思は重要です。もし、[[👤Erica]]氏の[[Obsidian]]に対する想いが、単なるツールを作ってみた程度であったなら、[[Obsidian]]はここまで流行らなかったし、私も使っていないと思います。[[👤Erica]]氏自身の[[PKM]]に対する経験、そこから得た知見、それらを踏まえた上で目指す未来、私はこれらに強く共感したので **Obsidianを長期スパンで使っていこう** という気になったのです。 #### スピーディーでエキサイティングな開発 [[👤Erica]]氏のパートナーであり、もう1人の共同設立者の[[👤Licat]]氏はメインで開発を担当してきました。私が[[Obsidian]]を使い始めた当初は開発チームに対する興味はありませんでしたが、[[Catalyst lisence]]を購入して[[Discord]]にjoinしてからは見方が変わりました。[[👤Licat]]氏の開発力、プロダクト開発に対する姿勢、スピードを目の当たりにし、[[Obsidian]]というプロダクトそのもに対する期待はもちろんのこと、同じエンジニアとしても大変刺激を受けました。 当時の[[Obsidian]]はまだv1.0に達していなかったため、リリースはかなりスピーディーでした。毎週のように機能追加のバージョンアップがされ、2週間リリースがないときは (冗談半分で) [[Discord]]民から心配のコメントが投稿されたくらいです。 頻繁なリリースにはもちろんデメリットもあります。[[Insider builds]]版であるとはいえ、デグレや破壊的な仕様変更は毎週のように起きていました。環境要因の不具合や細かい不具合も同様です。しかし、それらに多少目をつぶっても、スピードを優先して[[Obsidian]]というツールの輪郭をFixさせようという気概が伝わってきました。 スピードが速いからといって雑な仕事をしているわけではありません。[[👤Licat]]氏はパフォーマンスに関してもかなりストイックです。2020年頃に[[コミュニティプラグイン]]のプルリクエストを出したことがある方なら分かると思いますが、当時は[[👤Licat]]氏自らがすべての[[コミュニティプラグイン]]をレビューされていました。そこでパフォーマンスに関する指摘を何点かいただき、『なるほど... しっかりしてるなぁ』と思ったものです。 **Obsidianを5年10年と使うつもりであれば、[[ノート]]や[[内部リンク]]が増えたときのパフォーマンス劣化具合は非常に気になるポイントです**。なので、開発者がパフォーマンスに対して非常に関心があるという事実は、[[Obsidian]]というツールの未来に対する安心感に直結します。 2年半の[[Obsidian]]生活を経て、私の[[ノート]]数は8000近くになりました。10年使うなら単純計算で30000近い[[ノート]]ができます。パフォーマンスも今の4倍劣化するでしょう。幸いにも、今のところ[[Obsidian]]を使っていて重いと感じたことはありません。私が開発している[[🦉Various Complements]]や[[🦉Another Quick Switcher]]も、極力操作の重しとならないよう、できる限りパフォーマンスにも気を遣って開発しています。 ### [[コミュニティプラグイン]]のメンテナとして 私は[[Obsidian]]の[[コミュニティプラグイン]]をいくつか開発しています。幸運にも、プラグインのいくつかは多くの方に受け入れられ、今でも定期的に機能追加要望やバグ報告をいただきます。そのため、メンテナとしての責任感ができ、[[Obsidian]]というコミュニティが1つの居場所のように思えて愛着がわいてきます。 #### 他ツールでは実現できないクオリティを引き出す 開発している代表的な[[コミュニティプラグイン]]は以下の2つです。 - [[IDE]]のような多言語対応のオートコンプリートを実現する [[🦉Various Complements]] - 徹底的なカスタマイズが可能なクイックスイッチャー [[🦉Another Quick Switcher]] 多少ポジショントークになるのを承知で言います。**[[🦉Various Complements]]と[[🦉Another Quick Switcher]]を開発しなかったら、もしかすると今[[Obsidian]]を使っていない可能性すらある**と思います。それくらい私にとって必須なプラグインであり、それを他ならぬ自分の手で開発でき、多くの方に支持いただけたことを誇りに思います。 **『[[Obsidian]]はファイルの検索機能が弱いんだよなー』** **『[[内部リンク]]を挿入するときに`[[`って入力するのが面倒なんだよねー』** こんなお悩みをお持ちな方がいらっしゃいましたら騙されたと思って試してみてください。[[🦉Various Complements]]は日本語にも対応しており、日本語での文章入力中でも自然な形で[[内部リンク]]を差し込めると思います。[^2] 英語に抵抗のある方は[[👤ぷーおん]]さんの記事で概要を掴むのがオススメです。 <div class="link-card"> <div class="link-card-header"> <img src="https://pouhon.net/wp-content/uploads/2023/05/cropped-cplogo_square-32x32.png" class="link-card-site-icon"/> <span class="link-card-site-name">創造性原理</span> </div> <div class="link-card-body"> <div class="link-card-content"> <div> <p class="link-card-title">[Obsidian] Various Complementsに迫る！ (対談企画01)</p> </div> <div class="link-card-description"> あなたがもしVisual Studio Codeなどのテキストエディタを使ってソースコードを書くのなら、「スニペット」や「オートコンプリート」と呼ばれる機能は必須である。入力された最初の数文字から、利... </div> </div> <img src="https://pouhon.net/wp-content/uploads/2020/10/obsidian_logo.jpg" class="link-card-image" /> </div> <a href="https://pouhon.net/obsidian-various_complements/7515/"></a> </div> <div class="link-card"> <div class="link-card-header"> <img src="https://pouhon.net/wp-content/uploads/2020/12/favicon000-150x150.png" class="link-card-site-icon"/> <span class="link-card-site-name">Output 0.1</span> </div> <div class="link-card-body"> <div class="link-card-content"> <div> <p class="link-card-title">[Obsidian] Another Quick Switcherに迫る！ (対談企画04)</p> </div> <div class="link-card-description"> Obsidianに「クイックスイッチャー」という機能があることをご存知だろうか？最近開いたノートをもう一度開きたければ、Ctrl/⌘ + O を押してみるといい。クイックスイッチャーはいとも簡単に、そ... </div> </div> <img src="https://pouhon.net/wp-content/uploads/2020/10/obsidian_logo.jpg" class="link-card-image" /> </div> <a href="https://pouhon.net/obsidian-aqs/7472/"></a> </div> とはいえ、私も機械翻訳([[DeepL]])で日本語にして意味が通じるように書いているため、日本語に機械翻訳していただければ難なく読めるとは思います。 上記2つのプラグイン以外にも、タスク管理には先ほど紹介しました[[🦉Silhouette]]、ノート内リンクへの高速移動には[[🦉Shukuchi]]を開発して使っています。必須ではありませんが、一定期間以上古い[[ノート]]に対して警告を表示する[[🦉Old Note Admonitor]]も開発・利用しています。 #### [[GitHub]]で[[OSS]]をメンテナンスする上での学び [[Obsidian]]の[[コミュニティプラグイン]]を開発する以前は、[[GitHub]]で公開はしたもののIssueが投稿されたり、スターをつけてもらうことはほとんどありませんでした。 [[🦉Various Complements]]や[[🦉Another Quick Switcher]]を開発するようになってからは、Issueやスターが日常茶飯事になり、そこから得られるものもかなりあったと思います。 #2023/06/27 時点でそれぞれのプラグインに対する数値は以下の通りです。 | 項目 | [[🦉Various Complements]] | [[🦉Another Quick Switcher]] | | -------------------- | ------------------------- | ---------------------------- | | [[Obsidian]]でのDL数 | 89394 | 35088 | | [[GitHub]]でのDL数 | 267k | 86k | | リリース数 | 117 | 156 | | スター | 339 | 151 | | Issueの数 | 215 | 158 | | ∟クローズ以外 | 43 | 19 | | ∟クローズ | 172 | 139 | | PRの数 | 5 | 11 | | ∟クローズ以外 | 0 | 1 | | ∟クローズ | 5 | 10 | | コミット数 | 553 | 670 | | 貢献者数 | 2 | 6 | 当初は起票されたIssueをすべてクローズしなければ...という気持ちでしたが、ある程度Issueが増えてきたあたりからは考え方を改めました。これらは可視化された声であり、タスクではないと。それから少しは気が楽になった気がします。 #### [[Obsidian]]プラグインならではの学び [[Obsidian]]のプラグイン開発ならではの学びも多数ありました。 言語圏に依存するユーザーの声には勉強になりました。特に[[🦉Various Complements]]は普段利用している言語仕様が密接に関わるため難易度も高かったです。ユーザーの意見を聴きつつ、最も要望の多かった中国語にも対応し、あとは韓国語に対応できればほぼほぼ制覇といった状況まできています。 また、起票されるIssueも[[PKM]]と[[プロダクティビティ]]の両面において、良い意味でマニアックな要望が多く非常に勉強になりました。[[Obsidian]]を利用しているというだけで、[[PKM]]に対する意識は高いでしょうし、その中で私の作った玄人向けのプラグインを利用していること、さらには[[GitHub]]でIssueを起票する気概があること... ありきたりな意見がくる確率の方が低そうですね😅 先ほども触れたとおり、v1.0になる前の[[Obsidian]]は毎週のように破壊的変更がありました。これは[[Obsidian]]本体だけではなく[[コミュニティプラグイン]]開発者にもしわ寄せがきます。[[Obsidian]]のリリースは日本時間で深夜2時頃にされることが多く、『さて寝るか...』と思ってスマホを確認したときに知るという流れでした。そして破壊的変更があると、すぐに[[GitHub]]にIssueが立てられ通知がきます。すぐに対応するわけにもいかず、悶々とした気持ちで床に就き、翌朝急いで対応する...という日々でした。結構ヘビーでしたが、ああいう祭感は嫌いではないので、v1.0リリース後の最近はそういうことがなく、少し寂しさすら覚えますね(笑) [[Obsidian]]というツールやコミュニティが成熟していく様を、リアルタイムで観測・参加できたことは、今後のエンジニア人生にとってもかけがえのない宝物になったと思います。 ## まとめ [[Obsidian]]や[[PKM]]を続けることのメリットや、続けられる理由について紹介しました。 私は[[Obsidian]]ユーザーであり、[[コミュニティプラグイン]]の開発者です。少々特殊なポジションかもしれません。ただ、[[Obsidian]]を利用していない方でも、シミュレーションゲームやRPGが好きな方なら、是非[[PKM]]にチャレンジして楽しさを見出してほしいと思っています。ゲームと同様、序盤は退屈かもしれませんが、終盤の盛り上がりに期待してしばらく続けてみてください。 [[Obsidian]]も同様です。少々癖があり、[[コミュニティプラグイン]]を含めると数えきれないくらい沢山の機能があります。ただ、必ずしもそれらの機能を使いこなす必要はないでしょう。やりたいことができればいいのです。自分の目指す[[PKM]]を実現できる手段となるならばそれで。 偶然にも貴方が[[TypeScript]]や[[JavaScript]]を扱うエンジニアなら、[[コミュニティプラグイン]]開発はもちろんのこと、[[Templater]]や[[QuickAdd]]などを使って[[JavaScript]]コードによる自動化もできます。[[ドキュメンテーション]]や[[PKM]]のツールとしてならば、これ以上のモノはないでしょう。 そしてもし、オートコンプリートやファイル検索に不満を感じるようであれば... 是非試してみてください。[[🦉Various Complements]]と[[🦉Another Quick Switcher]]。分からないことがあれば、以下リポジトリのIssueに投稿いただければ日本語でも対応可能です。プラグインの話でなくても[[Obsidian]]全般に関する内容であれば、可能な限り回答します。 <div class="link-card"> <div class="link-card-header"> <img src="https://github.githubassets.com/favicons/favicon.svg" class="link-card-site-icon"/> <span class="link-card-site-name">GitHub</span> </div> <div class="link-card-body"> <div class="link-card-content"> <div> <p class="link-card-title">GitHub - tadashi-aikawa/obsidian-questions: Obsidianに関することで質問に答えます。日本語です。</p> </div> <div class="link-card-description"> </div> </div> <img src="https://opengraph.githubassets.com/d73293cce178bf0537e12d038912360ee88e73d3ac2427c4c0ec3e68d3b1e1f5/tadashi-aikawa/obsidian-questions" class="link-card-image" /> </div> <a href="https://github.com/tadashi-aikawa/obsidian-questions"></a> </div> この記事をきっかけとして、[[PKM]]の長旅に出られる方が1人でも増えればいいなと。 [^1]: [[Vim]]でも[[📗Vimの思想を取り入れる]]ことが第一だと思っています [^2]: [[Strategy (Various Complements)|Strategy]]を`japanese`に設定する必要があります (デフォルトは `default`)