[[📒Productivityを上げるために大切な100のこと]] No47. 🥉
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どのような組織にもルールはあるものだ。暗黙のルールもあれば、ドキュメントとして明文化されているルールもある。ある程度の規模になれば明文化は避けられないだろう。
一方、ルールが決まった経緯はどうだろうか。ルールのページから誰でも簡単に辿れるようになっているだろうか。よく見るパターンは次のような感じだ。
- 関連する議事録へのリンクが貼ってある
- 関連するIssueへのリンクが貼ってある
- メールや[[Slack]]へのリンクが貼ってある
正直、これらの関連付けがされているならかなり素晴らしいと思う。『〇〇さんに聞いて』『[[Slack]]探してみて』『退職してしまった人が..(ry』という場面に出くわすことが多いのだから。
しかし、この方式には大きなデメリットがある。
## 単独の資料で完結しない
議事録やIssue、メールや[[Slack]]を確認しにいってみよう。果たしてそのページの情報だけで知りたかった情報はすべて揃っただろうか。往々にして以下のような壁が立ち塞がった経験はないだろうか。
- 議事録はその会議の情報だけで、一連の経緯をすべて追跡できなかった
- Issueは飛び飛びの雑多なコメントが記載されているだけだった
- メールや[[Slack]]は前後や途中で別のスレッドに話題が飛んでいた
- 決定に至った最も大事な理由が分からなかった
それは当たり前だ。なぜなら、通常それらは==意思決定結果とその過程を記録する目的で使われるものではない==からだ。
| 手段 | 主な目的 |
| --------- | --------------------------------------------- |
| 議事録 | 会議不参加者に必要な情報を共有する/エビデンス |
| Issue | 課題を管理する |
| メール | コミュニケーション/エビデンス |
| [[Slack]] | コミュニケーション |
Issueに関しては、意思決定の記録として使うこともできる..が、あくまでそのような前提があり、全体に共有されている場合に限る。通常はタスク管理のように使われることが多いだろう。
## [[ADR]]の思想を取り入れる
決まったルールには必ず経緯がある。経緯の中には以下のようなものが含まれるだろう。
- 誰と検討したか
- いつ検討したか
- ルールを検討するに至った経緯
- ルールの概要
- ルール採用時のメリット
- ルール採用時のデメリット/リスク
- 採用/不採用の判断に至った理由
実はこのような情報を記録するソリューションが存在する。それが[[ADR]]だ。
<div class="link-card-v2">
<div class="link-card-v2-site">
<img class="link-card-v2-site-icon" src="https://adr.github.io/assets/img/favicons/favicon-32x32.png" />
<span class="link-card-v2-site-name">Architectural Decision Records</span>
</div>
<div class="link-card-v2-title">
Architectural Decision Records (ADRs)
</div>
<div class="link-card-v2-content">
An Architectural Decision (AD) is a justified design choice that addresses a functional or non-functional requir ...
</div>
<a href="https://adr.github.io/"></a>
</div>
[[ADR]]の正式名称は[[ADR|Architectural Decision Records]]。その名の通り、アーキテクチャ決定に関する記録だ。アーキテクチャという単語から、エンジニアリングに関する用途が一般的だろう。しかし、[[ADR]]の思想は他の概念にも適応可能だと考えている。
## ルールのDecision Records
何か決まったルールがあったとする。その経緯については、関連するDecision Recordsをリンクとして貼っておけばいい。議事録でも、メールでも、[[Slack]]リンクでもない。**単体で必要な情報をすべて取得できる**ようなページだ。もちろん、そのページ内で先のリンクを紹介するのは問題ない。むしろ好ましいだろう。
本サイト[[Minerva]]にはいくつかのルールがある。[[📒Obsidianルールリスト]]というページにまとめてある。その1つに[[📓MinervaのPrefixアイコンルール]]というものがある。
![[Pasted image 20210924135518.png|smaller]]
このページの最後には [[💿MIN-0003 エントリ名にprefixアイコンを含める]] というページへのリンクが貼ってある。これは[[Minerva]]の[[ADR]]である。リンク先を参照することで、**『エントリ名にprefixアイコンを含める』**ルールが定められるまでの過程をすべて追跡することができるのだ。
必ずしもここまでやる必要はないが、議事録やメール・[[Slack]]へのリンクを貼るのではなく、[[📗経緯単位でページを作成する]]ようにしてみてはどうだろうか。