[[📒Productivityを上げるために大切な100のこと]] No80. 🥈 ---- *この話はフィクションです* 仕事で何かを実現したい場合、ほとんどの場合に踏むプロセスがある。 1. 現状の共有 2. 目指すべき姿の共有 3. 2を目指す理由の説明 4. 2を実現するための課題 5. 3を解決する手段 6. 4を実施する 1はほとんどの場合で実施される。2も1の劣悪さが自明である場合を除き実施されるだろう。ところが、3と4は意外とスキップされてしまうことが多い。いきなり解決手段の検討を始めてしまうのだ。 ``` 『最近遅刻をする人が多くて困っている(1)』 『社会人たるもの時間は守るべきだろう(2)』 『なので、遅刻をした人は一律ボーナスカットにします(5)』 ``` 極端な例だとこんな感じである。==なぜ、時間を守るべきなのか?(3)... 遅刻をなくすため障壁となっていること(遅刻する理由)は何か?(4)... について一切検討されていない==。 もちろん、3と4が存在しないわけではない。言葉にされていないだけで以下のような暗黙の決定がある。 ``` (時間を守らない奴は信用できなくて仕事にも支障が出てしまうだろう) (今は遅刻に対するペナルティがほとんどないから、安易に遅れてくるに違いない) ``` 3と4の内容は人の価値観と深くかかわってくる。そして、==人の価値観はそうそう変わらない/変えられないし、想像することも難しい==。もしあなたが他人の価値観をすべて理解できると自信をもって言えるのなら、気を付けたほうがいいだろう。相手が合わせてくれている可能性が高いからだ。それくらい価値観の共有とは難しいものだ。 なお、この話における4について。原因はタイムカードを管理するシステムのバグだったようだ。しっかり打刻したつもりでも10%の確率で登録が10分以上遅延してしまうのだとか..。つまり、本当のところは以下のようになるべきだった。 ``` 『最近遅刻をする人が多くて困っている(1)』 『社会人たるもの時間は守るべきだろう(2)』 『なぜなら、時間を守れない者は信用が落ち、仕事にも支障が出るからだ(3)』 『遅刻してしまう理由を対象者に聞いたら 「遅刻はしていない」と回答された(4)』 ``` ここで少し調査をすればシステムの不備であることは分かる。そうなれば、1がそもそも偽りであったということになる。すべてはすり替わるのだ。 ``` 『タイムカードの打刻時間が10%の確率で10分以上遅延してしまう(1)』 『タイムカードの打刻時間が、打刻された時刻になること(2)』 『本来遅刻していない者が遅刻として不当に扱われてしまうのを避けるため(3)』 『現社員はタイムカードシステムの改修や調査ができない(4)』 『タイムカードシステムに知見のあるベンダーに相談する(5)』 ``` これを見たあなたは『こんな馬鹿なことに気づかないわけがないだろww』と笑うかもしれない。だが、現場ではこのようなことが日常的に起こっている。それが現実だ。だから、[[📗手段を考える前に課題と向き合う]]ことを大切にしてほしい。