[[📒Productivityを上げるために大切な100のこと]] No97. 🥈 ---- 学生時代に居酒屋でバイトしていたことがある。当時、まともな仕事をしたことがなく、とても不器用だった私は、調理場の仕事で四苦八苦していた。 平日の暇なときはいいが、週末や繁忙期はひっきりなしにオーダーが入ってくる。2つ以上のことを同時にやるのが嫌いだった私は、それらを[[並行]]に捌くことができず毎日のように怒られていた。 ## [[マルチタスク]]を捌けない たとえば以下のオーダーが入ったとする。 - 枝豆 - なんこつのから揚げ - 焼き鳥 - キムチチャーハン はじめのうちはそれらを上から順番に捌くことしかできなかった。順番に作っていく感じだ。それぞれの調理時間目安は10秒、45秒、3分、1分なので**最低5分はかかる**。しかも、==調理中新たなオーダーが入った場合、そちらを見ずに目先の作業をやっていたので、いとも簡単に提供30分待ち==といった事態が発生していた。 ## [[マルチタスク]]を捌くとは 慣れてくると、複数のことを[[並行]]して捌けるようになる。たとえばこんな感じだ。 | 時間 | 焼き場 | 厨房 | 刺し場 | 揚場 | パントリ | | --------- | -------------- | ---------------- | ---------- | -------------- | ------------ | | 0:00-0:08 | | | 枝豆を作る | | | | 0:08-0:10 | | | | | 枝豆を出す | | 0:10-0:17 | 焼き鳥を乗せる | | | | | | 0:17-0:23 | 皿を出す | | | | | | 0:23-0:30 | | | | 放り込む | | | 0:30-0:33 | | | | 皿を出す | | | 0:33-0:38 | | 鍋を暖める | | | | | 0:38-0:46 | | 皿にご飯をよそる | | | | | 0:46-0:51 | | 油をしく | | | | | 0:51-0:57 | | 豚肉を入れる | | | | | 0:57-1:03 | | 卵を入れる | | | | | 1:03-1:08 | | | | 引き上げる | | | 1:08-1:12 | | 炒める | | | | | 1:12-1:17 | | キムチを入れる | | | | | 1:17-1:23 | | ご飯を入れる | | | | | 1:23-1:33 | | 炒める | | | | | 1:33-1:35 | | 火を消す | | | | | 1:35-1:38 | | 皿に盛りつける | | | | | 1:38-1:43 | | | | 皿に盛りつける | | | 1:43-1:50 | | | | | 2品出す | | 1:50-1:55 | 焼き鳥を裏返す | | | | | | 1:55-2:10 | | 鍋を洗う | | | | | 2:10-2:15 | | 卓上を掃除 | | | | | 2:15-2:20 | | | | 卓上を掃除 | | | 2:20-3:10 | 休憩 | | | | | | 3:10-3:15 | 更に盛る | | | | | | 3:15-3:17 | | | | | 焼き鳥を出す | 結果的にこれらのオーダーは**先ほどの60%程度の時間**で終わる。また、このタイムテーブルは状況によって逐一再構築される。たとえば新たなオーダーが入った場合だ。新規メニューのお通しが入れば、止められるタイミングでそちらを優先する。調理前に同じメニューが入れば、既存のタイムテーブルにそれを差し込む。といった具合だ。 ## [[マルチタスク]]は戦略的にやる 過去に何度か[[マルチタスクは効率が悪い]]という話をしている。ただ、それは==1つのことに焦点を絞った場合の話だ==。 キムチチャーハンを作る時間だけを見たら、厨房でつきっきりに調理した方が速いに決まっている。だが、調理場に求められることは ==すべての料理をお客様が許容できる時間内に出すこと==だ。それができたうえで、はじめて個々の時間短縮に価値が出る。調理が遅れてクレームが出るのは、システムの障害対応と変わらない。お互い気分も悪くなるし無駄な時間を使う。 ほとんどの人は目の前のことだけに集中できる仕事ではないだろう。だから並行や[[マルチタスク]]を捨てるわけにはいかない。過去の私のように[[マルチタスク]]が苦手な人もいるだろう。そんなときは戦略的にやることの大切さを思い出してほしい。 **==どのように==[[マルチタスク]]を捌き、==どの指標で==及第点を目指すか、を戦略的に意識してみると何かが変わるかもしれない。**