[[📒Productivityを上げるために大切な100のこと]] No88. 🥈
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メモを取る場合、どのようなツールを使うだろうか? 大きく分けるとデジタルとアナログがあるだろう。それぞれのメリット・デメリットは様々なサイトでまとめられている。
`デジタル アナログ メモ メリット`というワードでGoogle検索した結果1ページ目に表示されたのサイトにて、それぞれのメリットをまとめてみた。
## 結果
デジタル・アナログのメリットをまとめた結果は以下の通りだ。
### デジタル
| メリット | 票 |
| -------------------------------------- | --- |
| 構成変更が容易 | 4 |
| 編集・コピーが容易 | 4 |
| 場所をとらず大量に持ち運び・保存できる | 4 |
| 検索がしやすい | 3 |
| 複数人で共有・編集できる | 3 |
| 音声や画像、映像を簡単に記録できる | 2 |
| 文字や図をキレイに書ける | 2 |
| 長文になると入力速度が速い | 2 |
| (端末があれば)どこでも使える | 1 |
| バックアップしやすい | 1 |
### アナログ
| メリット | 票 |
| ------------------------------------ | --- |
| (メモがあれば)どこでも使える | 4 |
| 表現に制約がない | 3 |
| アクセスが早い | 3 |
| 集中したり考えを整理できる | 3 |
| イニシャルコストが安い | 2 |
| 相手からの印象が良い | 2 |
| 一覧性が高い | 1 |
| 情報が破棄しやすい | 1 |
| 文字から自分が書いたものと認識できる | 1 |
| 通知などで集中力を阻害されない | 1 |
| 手書きのしっくり感がある | 1 |
| 電子端末に慣れていなくても簡単 | 1 |
| 目が疲れない | 1 |
| 情報が記憶に残りやすい | 1 |
| 文房具を楽しめる | 1 |
| ID/PWの管理が不要 | 1 |
## アナログのメリットは本当にメリットなのか?
編集がしやすく、大量のデータをかさばらずに保管できる。検索がしやすく複数人で同時作業も可能。デジタルに対する上記メリットは概ね共通意見だろう。一方、デジタルのデメリット...言い換えると==アナログのメリットは本当にメリットなのだろうか?==という疑問が残る。
少なくとも私世代以上の人は、生まれてから学習する機会の大半をアナログメモと共に過ごしてきた。小学校~高校まで、授業ではノートと鉛筆・各種ペンしか使うことは許されなかった。理由はどうあれ、スマホやデジタル機器などを机上に出して操作するだけで、いきなり蹴りをかましてくる先生すら居たくらいである。
私の場合は大学に至ってもほぼほぼ手書きだった。情報という名の付く学部に居たにも拘わらずだ。A4用紙50枚以上の実験レポートを手書きしていた時間は人生の無駄以外の何物でもない。今でもそう思う。
話は脱線したが、私が言いたいのは、==人は何十年にも渡るアナログの[[コンフォートゾーン]]から脱出できず、無意識のうちにアナログを良きものであると思い込んでいるのではないか==ということだ。
## アナログのメリットを吟味する
それではアナログメモのメリットのうち、2票以上入ったものについて吟味していく。
### (メモがあれば)どこでも使える
それはそうだ。デジタルだって端末があればどこでも使える。バッテリーの話をするかもしれないが、それを言ったらアナログもページ数が尽きれば終わりだろう。その点に触れないのはフェアじゃない。
### 表現に制約がない
[[Obsidian]]のようなメモアプリと比較すれば確かにそうかもしれない[^1]。ただ、手書きできる端末、たとえば[[iPad]]と[[Apple Pencil]]があればほぼ同程度の表現ができる。しかも、編集や保存、検索が容易というデジタルのメリット付きだ。
私は[[iPad Pro]]を使うようになったから、個人的な手書きメモでアナログを使った記憶はない。手書き特有の思考が整理しやすいといったメリットも、アナログ同様に実感できている。
### アクセスが早い
これも状況次第だと思う。たしかに、手元に紙とペンが準備されているという前提なら、わずかにアナログの方が早いだろう。しかし実際はどうだろうか? 外出中、急に何か思いついたとき、==カバンからメモとペンを取り出すよりも、スマホで何かにメモをすることの方が多くはないだろうか==?
パソコンを前にしたときも、常時起動している[[Obsidian]]なら1秒以内にメモを取り始めることができる。新しいNoteを作成してもいいし、[[デイリーノート]]に記載してもいい。新規ファイルの場所にこだわるといった脱線した話がなければ、デジタルの方が速いと思っている。
### イニシャルコストが安い
スマホやパソコンの購入費と、ノートやペンの購入費を比較して考えればそうだろう。とはいえ、メモをするためだけにスマホやパソコンを購入する人がいるだろうか? 多くの人は既にメモできる端末を持っているだろう。学習が困難で持っていない人の場合は、デジタルメモの習得ハードルが高いため、たしかにアナログの方がいいのかもしれない。
### 相手からの印象が良い
印象は人による。(今は分からないが)学校の先生に対しては、デジタルメモをパチパチ入力するより、手書きでノートに一生懸命メモする生徒の方が好印象に映ることだろう。しかし、==それこそが呪縛なのだ==。手書きのスキル習得は必要だが、体系的に学習するならば、[[PKM]]のような理論を学んで自分だけのオリジナル学習ノートを生涯に渡って作り続ける方が有意義だと言える。
携帯電話すらなかった時代における自分たちの常識を、未来の世代に理由もなく押し付けてしまっては老害となってしまう。時代と共に常識は変わる、変えるものだ。
なお、私の場合、何かを教えているときに手書きでメモしている人を見たら以下のように感じてしまう。
- 『パソコン使った方が速いのになあ...』
- 『あとでサクっと検索できるのかな? 紛失しないだろうか?』
- 『手書きだと共有しにくいし、文字も読みにくいんだよなあ...』
### 集中したり考えを整理できる
これは**表現に制約がない**というメリットと関係があると思っている。イメージ通りの形をデジタルに表現できる仕組みがないからこそ、集中を阻害するのだ。デジタルツールの操作方法に集中力を奪われる場合も同様だ。
## デジタルのメモに慣れる
手書きであるかどうかは論点ではない。ただ、アナログ(紙)ではなくデジタルを主体としたノートやメモが当たり前となるよう、義務教育を含めて本質な学習に集中できるようになったらと思う。
加えて昨今は[[テレワーク]]が急速に普及しており、ネットワーク越しで複数人による編集や共有が加速している。そのようにメモに求められる要件が変わってしまうと、アナログは比較対象にすらなれない。
可能なら[[Miro]]などのデジタルホワイトボードツールを使って、手書きについても卒業できるようになると望ましい。作業スピードの理論値はそちらが上だからだ。それについてはまた別の機会に。
[^1]: [[Obsidian Excalidraw]]を使えば手書きにも対応できるが標準機能ではない